兵庫県高等学校体育連盟テニス部

ホーム資料文献回顧録平成22年度男子回顧録 龍野高等学校 渡辺憲

平成22年度男子回顧録 龍野高等学校 渡辺憲

 「インターハイ100年の記憶 テニスはすべての競技に先立ち一世紀を刻む」美ら海沖縄総体2010において、テニス競技(個人戦)が第100回大会を迎えたことを記念し、こんなタイトルの冊子が作成された。もう、4年も前のことになるが、兵庫でのインターハイ・テニス競技の開催に運営委員として携わったことを思い出しながら、数多くある総体種目の中で、自分が部活動の顧問として係わっているテニス競技が真っ先に100回大会を迎える伝統種目であることを嬉しく思う。さらに回を重ねながら、部活動競技として発展していくことを願っている。さて、前置きはこれくらいにして、今年度の大会を振り返ってみたい。

 【総合体育大会】
学校創立とともに創部3年目の相生学院は、新1年生に国内ジュニアトップレベルの選手を加えて3学年が揃い、その圧倒的な強さを見せ付けた。

 まず、団体戦。ベスト8に名乗りを上げたのは、相生学院、関西学院、甲南、明石城西、報徳学園、芦屋学園、仁川学院、啓明。このうち相生学院、甲南、明石城西の3校は、シード順位どおり、ベスト4に駒を進めたが、第2シードの関西学院は、第7シードの仁川学院に1-2で敗退。仁川学院は、5年ぶりに総体団体ベスト4入りを果たした。準決勝の相生学院-明石城西戦は相生学院が、甲南-仁川学院戦は甲南が、いずれも3-0で勝利して決勝進出。初優勝を目指す新鋭の相生学院と、14年ぶり21回目の優勝を目指す古豪の甲南との対決となった。相生学院は昨年度末の3月の全国選抜でベスト8入りし、全国へ名乗りを上げたところ。対する甲南も一昨年度末の全国選抜で3位入賞時のメンバー3人を擁していた。3年生対決となったダブルスは、金江・大西(甲南)が嶋田・長南(相生学院)にフルセットの末に逆転勝利。シングルス1は池川浩史(相生学院)が、セカンドセットを取り返して粘る上原伊織(甲南)をフルセットで下した。ポイント1-1で勝敗がかかったシングルス2は、ジュニア・デビスカップ日本代表のスーパー・ルーキー河内一真(相生学院)がストレートで古村賢太(甲南)に勝利し、2-1で相生学院が初優勝を遂げた。

 個人戦のシングルスは、準決勝で第1シードの上原伊織(甲南)が第4シードの河内一真(相生学院)に2-0破れ、第2シードの池川浩史(相生学院)が第3シードの金江紀幸(甲南)に2-0で敗退した。結果、決勝は第3シードと第4シードの甲南-相生学院対決となったが、河内一真がストレートで勝利し、1年生デビューを優勝で飾った。ダブルスでも準決勝は長南・諌山(相生学院)-大西・金江(甲南)、上原・古村(甲南)-宇治・嶋田(相生学院)の相生学院v.s.甲南カードとなったが、こちらはいずれも相生学院勢が勝利し、決勝は長南・諌山が宇治・嶋田を2-0で下して優勝した。

 団体戦、個人戦単複ともに勝利を収めた相生学院は、8月の沖縄総体において、団体戦では春の全国選抜に続きベスト8、個人戦ではシングルスで河内一真が3位入賞と活躍した。

 【新人大会】
8月の個人戦でも、相生学院勢の活躍が目立った。シングルスではベスト8の8名の中に6名の相生学院の選手が名を連ね、またダブルスでも、ベスト4の4組の中で3組が相生学院のペアであった。シングルスの残り2名は、総体でも活躍していた古村賢太(甲南)と西村顕人(関西学院)。また、ダブルスの残り一組は木ノ下・古村(甲南)であった。相生学院が単複とも優勝、準優勝のタイトルを獲得し、3年生引退後の新チームにおいても、相生学院の層の厚さを実感する結果となった。

 10月に行われた団体戦。ベスト8に入った相生学院、甲南、関西学院、仁川学院、三田、小野、雲雀丘学園、報徳学園の8校のうち、上位4シードの相生学院、甲南、関西学院、仁川学院がベスト4に進出。4校による8ゲームプロセットの5ポイントによるリーグ戦が、神戸しあわせの村テニスコートで行われた。結果は3対戦とも5-0で勝利した相生学院の圧勝であったが、全国選抜近畿地区予選へのもう1つの出場枠の獲得につながった甲南-関西学院の対戦は、昨年同様の接戦となった。両チームの熱い応援の中、関西学院が3-2で勝利した。そして11月に行われた全国選抜近畿地区予選では、相生学院が優勝、関西学院が5位という成績を収めた。続く3月の全国選抜大会での活躍が期待される。

 テニス部の顧問を務めるようになって13年。前任校の赤穂高校での10年間は、隣接する赤穂海浜公園で行われた県大会や近畿大会の大会運営に傍わりながら、兵庫県の高校テニスのレベルの高さを目の当たりにしてきたが、今そのレベルは、さらに上の極みに達しようとしていると思う。すばらしい能力を持った選手たちが兵庫県にやって来ていることは間違いないと思うが、彼らを導き、支え、そして伸ばしている顧問の先生方の情熱、努力、忍耐、苦悩…は並々ならぬものだろう。全国トップレベルの勝負の世界は、自分には計り知れないものがある。ただ、そこから自分の日々の取り組みの姿勢に目を向けたとき、考えることはある。今回の回顧録の執筆を、もう一度、初心に返って取り組むきっかけにしたい。

▲ページトップに戻る