兵庫県高等学校体育連盟テニス部

ホーム資料文献回顧録平成18年度男子回顧録 関西学院高等部 石森 圭一

平成18年度男子回顧録 関西学院高等部 石森 圭一

 本年度はいよいよ兵庫県での全国高校総体が開催される大きな年であった。一昨年からそれぞれの部署で準備を重ねてきたが、地元開催の大きなプレッシャーの中、お世話いただいた先生方一人一人の力が見事に合わさって、夏の全国総体本番を成功裏に終了できたことは本当に大きな喜びであった。また、審判員をはじめ式典や会場係、練習会場で真剣に大会運営に取り組んでくれた多くの兵庫県高校テニス部員や他の部の高校生たちの頑張りにも感謝したい。この大きな舞台で活躍してくれた選手をみんなで支えたこの夏の経験は、何よりも代えがたい貴重な青春の1ページになったに違いない。

 全国総体に関わったすべての人たちに感謝の気持ちをこめて、この1年間を振り返ってみたいと思う。

 九州博多で行われた第28回全国選抜高校テニス大会では兵庫県代表の2校である明石城西と関学が共に全国の強豪校を次々と打ち破り、明石城西は長尾谷(大阪)と関学は柳川(福岡)と準決勝を戦った。そこで破れはしたが、両校とも最後の閉会式で表彰を受け、兵庫勢の両方が全国の舞台で活躍して、女子の園田、夙川が築いたテニス王国兵庫に男子も一歩近づいた大会であった。

 春の兵庫県ジュニアテニス選手権大会では第一人者佐野紘一(明石城西)が安定した力を見せつけ優勝、準優勝には澁谷竜矢(明石城西)が名を上げた。ダブルスもこの2人のペアが昨年全国総体準優勝の貫禄を見せ、山﨑・桑原組(関学)をフルセットで降し、優勝を遂げた。次期兵庫県を担う存在の16歳以下の部では福田健司が、ダブルスでは昨年度の新人個人制覇の坂根巨都と組んで、単複をともに制した。単準優勝はダブルスペアの坂根、複準優勝は黄・喜多組(関学)であった。

 地元開催の全国総体の予選である兵庫県高校総体は、最後のリハーサル大会となって大々的に行われた。団体戦は2校の選出となるため、準決勝からは明石城西、関学、芦屋大附属、甲南の4校による8ゲームズプロセットのリーグ戦となった。台風の目となったのは芦屋大附属、昨年新人チャンピオンの坂根に加えて新一年生の恒松、酒井らが加わり、団体戦に先立つ個人戦でも大活躍して,この団体戦に臨んだ。明石城西戦はシングルス2を芦屋大恒松が明石城西澁谷を破り、ダブルス勝負にもつれ込んだが、タイブレークの激戦の上、明石城西が競り勝った。出場権を決める重要な二戦目は明石城西が甲南を降し、まず1校目の切符を手にした。芦屋大附属は対関学戦で、個人戦で関学のエース山﨑を降した坂根をシングルス1に起用し、澁谷を倒した恒松をダブルスに起用して必勝を期した。
個人戦で苦杯を喫した関学だったが、団体戦は伝統の力を見せてダブルス、シングルス共に総力で取った関学が全国大会2校目の切符を手にした。決勝となる三戦目は緊張の解けた明石城西が関学を圧倒し、4年連続8回目の総体団体を制した。

 個人戦準決勝では春の県ジュニアの18歳ファイナリストがそれぞれ16歳ファイナリストを迎え撃ち、佐野が坂根を、澁谷が福田をともにストレートで降し、決勝は県ジュニアと同じ城西決戦となった。佐野は終始安定した力を発揮し、全国大会シードの力を見せ付けて見事優勝した。全国総体出場を果たしたのは準決勝進出した坂根(芦屋大附)と新鋭1年生の福田(駿台甲英)、順位戦を制した森本、野田(いずれも明石城西)の合計6人であった。ダブルスでは佐野・澁谷、野田・池田の明石城西組に辻・大国、山﨑・桑原の関学組が激突した。それぞれの学校のエースが決勝で対決し、春の県ジュニア決勝の再戦となったが、第1セットを奪った関学山﨑・桑原組は第2セットもタイブレークでもぎ取り、見事優勝した。全国総体出場決定戦は野田・池田組が辻・大国組を破り、全国大会の出場権を得た。

 しあわせの村と神戸総合運動公園で行われた全国高校総体は、これまでの兵庫県高校テニス関係者の力の結集の下に開催され、連日熱戦が繰り広げられた。団体戦は関学が早稲田実業と対戦し、ダブルを取ったがシングルスで激戦の末2本取られ、一回戦で惜敗した。兵庫チャンピオンの明石城西は2回戦大分舞鶴、3回戦四日市工業を順調に撃破し、準々決勝では佐賀の龍谷を破った東海大菅生(東京)と対戦した。ダブルスを取った城西はシングルス1でエース佐野が菅生のエース大野をフルセットの末破り、澁谷の熱戦が打ち切りとなって準決勝へと進出した。柳川戦でもダブルスが第1セットをもぎ取り勢いに乗ったが、第2、第3セットを盛り返され、シングルス1の佐野が片山に破れて、決勝進出はならなかった。ただ、地元開催の表彰式で見事表彰された明石城西の健闘を大いに称え、拍手を贈りたい。

 個人戦では佐野紘一が沖縄の金城、名古屋の二村ら強豪を打ち破り、準決勝で伊藤竜馬に敗れたが堂々の第3位であった。澁谷がベスト16に入り、新一年生の福田が1回戦、2回戦、二年生の坂根巨都が1回戦を勝ち進んで来年へ繋がる戦績を収めた。3年生の野田、森本は残念ながら1回戦で涙を呑んだ。ダブルスは第1シードの佐野・澁谷組が1回戦で伏兵の赤津・田口組によもやの敗戦を喫し、山﨑・桑原組も名古屋の二村・長谷川組に競り負け、全国大会で勝つことの難しさを改めて痛感した。しかし、野田、池田組が緒戦を突破したのを始め、出場して兵庫県民が見守るコートで思う存分戦った3年生の頑張りは、単に結果だけでなく大切な多くのことを下級生たちに伝えたと思う。

 本当に大きな大きな総体が終了した後、3年生が抜けてはじめての大会である県民大会は、何かほっとした雰囲気の中、赤穂海浜公園で行われた。シングルスでは福田が笠井(関学)を、恒松が田中(明石城西)を準決勝で降して決勝で対戦した。全国総体での経験を活かした福田がストレートで恒松を降し、優勝した。福田はダブルスでも坂根と組んで決勝に進んだが、決勝ではファイナルの激戦の上、関学の秦・喜多組が優勝した。続く近畿高校テニス大会では福田がベスト4、大崎、黄,坂根の3人がベスト8になった。ダブルスでは秦・喜多組が準優勝、諌山・武内組(明石城西)がベスト4入り、奥貞・野口組(六甲)がベスト8入りを果たした。

 春の全国選抜高校を目指す新人団体戦は、春の総体と同じ顔ぶれの4校で決勝リーグが争われた。互いに2勝ずつをあげた明石城西と関学の試合はダブルス2つを8-6、8-6で競り勝った城西がシングルス1を取られたものの4-1で勝利し、新人大会9連覇を成し遂げた。しかし、甲南、芦屋大附も明石城西から一矢を報いて、男子は戦国時代の到来を感じさせた。シングルスは福田健司、恒松寛己の激突となり、フルセットの激戦の末、福田が栄冠を勝ち取った。ダブルスは明石城西の土井・井原組がこれもフルセットの末、関学の黄・内匠組を破って優勝した。全国選抜を決定する近畿地区大会は明石城西が準優勝、関学が4位入賞を果たし、それぞれ来春の全国大会への切符を手にした。どちらも優勝した長尾谷に後一歩まで肉薄しただけに、今後の練習精進によって、全国大会でも昨年同様テニス王国兵庫の力をフルに発揮してほしいものである。

 全国総体のあとにはのじぎく兵庫国体が開催されるという、ダブルの全国大会地元開催の年であったが、終わってみれば本当に充実した、実りの多い年であった。この大会を成功させるために、早くからいろいろな先生方がそれぞれの分野で準備を念入りにしてくださった。この間、以前は事務局として大会中は記録の整理などほとんど裏方に回って、自校の選手の試合も見ることがなかったのが、記録係の石川先生はじめスタッフが万全の体制を敷き、コート上では寺谷先生、横田先生たちが率いる兵庫審判員軍団が溌剌とした声で審判をし、二木先生、原先生、下村先生を中心とした兵庫県テニス顧問団の先生方がコートレフリーを勤め、それらを高塚先生をはじめとする進行の先生方が取りまとめ、式典関係を関根先生たちがしっかりと準備をする中、久しぶりに選手たちのプレーする姿をしっかり見 ることができた一年であった。改めてこの1年間、テニス諸行事にご尽力くださった関係の先生方、生徒諸君に熱く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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