兵庫県高等学校体育連盟テニス部

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平成19年度男子回顧録 仁川学院高等学校 若松 慶実

 私がテニスに出逢ってから、何年経つのだろう。私の通っていた尼崎の公立中学校には、ソフトテニス部しかなく、帰宅後はひたすら壁打ちをする日々が続いた。荒れる中学校の中にいて、横道に逸れず、まとも(?)に育ったのもテニスのお陰であると思っている。私の高校時代は、試合といえばアンツーカーコートかクレーコートで行われていた。球足は遅く、攻撃よりもミスをせずにつなぐことが重視された。その頃から比べ、現代のテニスはスピードとパワーで、ポイントを取りに行かなければならない。今の高校生のテニスを見て、「わー、こんなカッコいいテニスを俺もしたかったなぁ」などと思いつつ、この1年間を振り返ってみたいと思う。

 3月末から行われた楽天杯の18歳以下男子シングルスでは、第3・4シードが準決勝までで敗退する番狂わせがおこった。ベスト4に残ったのは、福田・坂根・鈴木(以上駿台甲英)、中本(明石城西)であった。この中で失セット数0で優勝したのが福田健司(駿台甲英)であった。ダブルスも、シングルス同様に第1・2シードが準決勝で敗れる混戦となった。決勝は、福田・坂根(駿台甲英)対松本・六車(関学)の顔合わせとなった。やはり、シングルスの勢いがあったのか、福田・坂根組がフルセットの末、優勝した。

 6月に行われた県総体(インターハイ予選)の団体戦は、楽天杯18歳以下シングルス、ベスト4に3人を占める駿台甲英が、第3シードで登場し、混戦するであろうことが予想された。準決勝の明石城西対甲南、駿台甲英対関学、ともに2-1で明石城西と駿台甲英が勝利した。決勝は、ダブルスとシングルス2を明石城西が取り、シングルス1も駿台甲英が棄権したため、3-0で明石城西の5年連続9回目の優勝が決まった。個人戦のシングルスでは、第2シードの恒松がよもやの初回戦で敗退した他は、上位4シードまでの選手が準決勝に進出した。決勝は、福田対渡部となり、セットカウント2-0で福田が勝利し、団体戦のリベンジを果たした形で優勝した。ダブルスの準決勝の対戦は、第1シードの福田・本村組対第5シードの土井・井原組、第3シードの諫山・武内組対第7シードの渡部・灘組の顔合わせとなった。福田・本村組はファーストセット、タイブレークで取ると、そのまま勢いに乗り、セカンドセットも連取し、決勝に進出した。 もう一方は、2時間以上の接戦の末、渡部・灘組が勝利した。決勝は、ファイナルセットに入るかと思われたが、渡部・灘組がストレートで勝利し、優勝した。この大会で感じたことは、やはり回戦が進むにつれ、気魄あふれる見応えのある試合が多数あったことと、なんと棄権の多い大会だろうということである。体力消耗や突発的な事故ならいざしらず、団体戦の準決勝以降3試合と個人戦シングルス準決勝1試合が棄権とは驚いた。(まぁ、これも時代の流れといえばそれまでなのか・・・)結果として、団体戦は明石城西高校、個人戦シングルスは、福田・本村(以上駿台甲英)、中本・渡部(以上明石城西)、酒井(芦大附属)、ダブルスは、渡部・灘組(明石城西)、福田・本村組(駿台甲英)の全国総体出場が決まった。 佐賀県で行われた全国総体(インターハイ)では、団体戦も含めてシングルスの渡部、ダブルスの和種部・灘組が2回戦で敗退した他は、全て初回戦敗退という寂しい結果に終わった。やはり、全国大会で勝つということの難しさが顕著に現れたと思う。

 8月末には、夏休み最後の大きな大会となる新人大会が、赤穂海浜公園で行われた。団体戦の主資料となることから、猛暑をも吹き飛ばす熱い戦いが展開された。シングルス決勝は、県総体を制した福田が中本を、ダブルス決勝は、恒松・酒井組が大崎・中本組をそれぞれストレートで退け、優勝した。

 10月には、新人テニス大会の団体戦が行われた。各校とも夏休みからの鍛錬の成果を発揮すべく、白熱した戦いが繰り広げられた。上位4校に進出したのは、明石城西・関西学院・芦大附属・甲南であった。やはり、総合力で一歩リードしている明石城西が優勝し、2位は関西学院という結果になった。近畿選抜大会に出場した2校は、そこでも勝ち進み両校ともに全国選抜大会の切符を見事勝ち取った。3月に行われる全国大会での活躍を期待したい。

 1年間の大会を簡単にではあるが振り返らせてもらった。以降は私なりの感想を少し述べさせていただきたい。高校生という年代は1・2ヵ月の間に著しく成長するものだと痛感させられた。それはやはりテクニックを磨くこともさることながら、心の成長が大きな要因であるように思う。その心の成長を助け導くことが、我々の最も大切な仕事だと感じた。プロを目指す選手もいるだろうが、大半の選手はそうではない。ならば、テニスと通じて何を学ぶか。「勝つために努力すること」、「雑事に関わらぬ勇気を持つ」、「思い通りに行かない時に辛抱強く耐え忍ぶこと」等々、これらの人格形成に関わることを、テニスという競技を通じて学んで欲しい。そのために我々は何をすべきか、いや、何ができるのか。私自身、大した能力があるわけでもない。ならば、自分の後ろ姿を見せる以外ないように思う。そう考えた時、果たして自分はよき指導者と言えるだろうか。んー、まだまだ修養が足りませぬ・・・・・・。

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