兵庫県高等学校体育連盟テニス部

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平成20年度男子回顧録 甲南高等学校 福井隆之

 今年度のテニス界は良いニュース、悪いニュースが飛び交う波乱の年になったように感じる。全国レベルの高校テニス部の不祥事や現役のプロ選手の大麻事件などが、新聞の紙面やマスコミで大きく取り上げられ、学校教育における「部活動テニス」の存在意義や役割を再考させられた。伊達公子選手の現役復帰そして全日本選手権優勝や全豪本戦出場、錦織圭選手の世界レベルでの活躍など明るい話題もあった。また、他競技ではあるが、高校生プロゴルファーの石川遼選手やスケートの世界チャンピオン浅田真央選手の活躍は同世代の高校生にとって良い刺激となり、マスコミに対する彼らの試合前後のコメントなどは良い手本となったのではないか。

 それでは今年度の兵庫県男子高校生の活躍を団体戦中心に振り返っていきたい。

【総合体育大会】

 県総体団体戦は今年度からベスト8に入った学校が総合運動公園での本戦に臨む形で行われた。ベスト8に明石城西、関西学院、甲南、芦屋大付属、神戸、仁川学院、雲雀丘、相生学院、ベスト4にシード通り明石城西、関西学院、甲南、芦屋大付属が勝ち進んだ。準決勝、明石城西-芦屋大付属戦は3-0で明石城西、関西学院-甲南は2-1で甲南が勝利した。関学-甲南戦のシングルスNo.1は沼野孝彰(甲南)が75、62で黄賢人(関学)を破り、エース対決を制した。シングルスNo.2は上原伊織(甲南)がルーキーらしからぬ戦いをみせ、62、62で六車直遠(関学)に勝利した。甲南は平成8年度以来の11年ぶりの決勝進出となった。決勝、シングルスNo.1は井原力(明石城西)が序盤から優位に試合を進め、沼野孝彰(甲南)に61、63で勝利し流れを作り、続いてダブルスも浅井・土井(明石城西)が八島・大西(甲南)に63,61で勝利した。その結果、明石城西が2-1で6年連続の優勝を決めた。

 県総体個人戦シングルスは優勝:福田健司(駿台甲英)、準優勝:黄賢人(関学)、ベスト4:井原力(明石城西)、中本真太郎(明石城西)、ダブルスは優勝:井原・土井(明石城西)、準優勝:松本・六車(関学)という結果になり、全国大会への切符は全て3年生がつかむこととなった。

 全国総体団体では全国選抜ベスト4の明石城西が初戦の2Rで敗れるという波乱があった。全国レベルでシングルス2本、ダブルス1本で勝つことの難しさを感じた。とはいえ、明石城西に勝利した浦和学院(埼玉)は関西(岡山)にも勝利し、ベスト8入りしている。私は団体準決勝、決勝を観戦したが、特に決勝は湘南工大付(神奈川)の圧勝に終わり、全国大会のレベルの高さ、選手たちの思いの強さを見せつけられた。

 個人戦はシングルスで福田健司(駿台甲英)がベスト16入りするものの、その他は苦戦を強いられた。シングルスで黄賢人(関学)ベスト32、井原力(明石城西)ベスト64、中本(明石城西)一回戦敗退、ダブルスでは井原・土井(明石城西)ベスト32、松本・六車(関学)一回戦敗退という結果に終わった。8月の猛暑中での連戦で勝利するには、かなり高いレベルでの心技体を備えていなければならないと痛感させられた。

【新人大会個人戦】

 代が変わり、夏の新人大会個人戦ではベスト4に沼野孝彰(甲南)、浦上武大(関学)、宇治崇之(相生学院)、浅井龍雅(明石城西)の団体戦のトップ4シードのエースが勝ち上がった。準決勝で浦上が沼野を、浅井が宇治を退け、決勝戦ではフルセットの激戦の末、ファイナルセットをタイブレークで征した浦上が優勝した。ダブルス決勝では浅井・朝倉組(明石城西)が浦上・吉川組(関学)に勝ち、シングルスの雪辱を果たして優勝した。

【新人大会団体戦・全国選抜近畿地区大会】

 今年度の全国選抜の予選を兼ねた県新人大会団体戦は異例の形で行われることとなった。例年はベスト8から総合運動公園で本戦が行われるのだが、今大会はベスト8から上位シード校の関学、明石城西を会場として行われた。準々決勝、関学会場では関学-滝川50、相生-仁川50、明石城西会場では甲南-雲雀丘41、明石城西-報徳50で関学、相生、甲南、明石城西がシード通りベスト4入りした。ここからは4校での8ゲームのリーグ戦となるが、例年より各校の実力に大きな差がないことや会場のホームアウェイの関係もあったのか、まれにみる混戦になった。リーグ戦第一試合、関学会場で関学が相生を50、明石城西会場では明石城西が甲南を32で下した。明石城西-甲南戦は明石城西がダブルス2本、甲南がシングルス2本を取り、シングルスNo.3に勝敗が託された。ダブルスで流れをつかんだ明石城西がホームの利も活かし勢いに乗り、朝倉康平(明石城西)が金江紀幸(甲南)を85で破り、大事な初戦で勝利をおさめた。リーグ戦2日目、会場を関学へ移し、第一試合、甲南が関学を32、相生が明石城西を32で下し た。両試合ともどちらが勝つか最後まで分からない好ゲームとなった。甲南-関学戦は前日に引き続きシングルスNo.3に勝敗が託された。藤圭太(関学)が序盤安定したプレーで金江紀幸(甲南)を51までリードしていたが、後半、金江が気迫のプレーで挽回し、まさに団体のシングルスNo.3の試合という雰囲気になり、最後は金江が藤を86で下した。この時点で、各校が1勝1敗で並び最終試合、関学は明石城西を41、甲南は相生を41で下し、甲南が11年ぶりの優勝、関学が準優勝を果たし、兵庫県の代表として、近畿大会へ出場することとなった。

 近畿大会へ出場した甲南、関学はともに決勝に駒を進め、全国選抜への切符をつかむとともに、優勝をかけて再び対戦することとなった。準決勝で第1シードの清風を破り勢いに乗る関学は、決勝でも32で甲南を下し、県大会のリベンジを果たし、優勝を手にした。3月に行われる全国大会ではともに上位進出を目指し、県代表としての誇りを持ち、戦って欲しいと思う。

 ここ数年、学校教育を取り巻く環境は大きく変化してきており、当然、ジュニアテニス界も大きく変化してきている。このような変化の中で学校における部活動はどうあるべきか、考えさせられることが多々ある。変化すべきは変化し、対応していかなければならないが、「部活動テニス」が果たすべき役割は大きいと思う。選手たちが心技体ともに大きく成長する場となるよう、私自身も研鑽を積み、成長していかなくてはならないと日々感じている。

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