兵庫県高等学校体育連盟テニス部

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平成22年度女子回顧録 兵庫県立伊丹高等学校 菅原潤哉

 灼熱の沖縄で開催された平成22年度インターハイは、ちょうど100回目の記念大会であった。第1回大会は1908年に「全国中学校庭球選手権大会」として大阪府堺市で開催された。戦争で2回中断されたため、平成22年の今年でちょうど100回目である。この歴史の重みと節目の大会が大戦の影響を長く受け続けている沖縄で開催されたことに、社会科教員である私は格別の思いをもった。残念ながら、私は沖縄インターハイを観戦する機会がなかったため、以下のインターハイおよび県大会以上の諸大会に関する記述は後に得た情報を集約したものである。また、県内外でこの1年間に開催されたすべての大会の記録を紹介することは紙面の制約上および私の文章力のなさのため不可能であることをお許しいただきたい。

 私はここ数年、諸大会の県大会の進行・記録係を担当させていただいている。特に進行係は、インターハイや選抜大会への出場を決める大切な試合のコート割りや試合開始時間を決定する仕事であり、オーダーオブプレイに対戦表を貼り付けていくたびにひそかに私は緊張をしている。そして、試合の勝者からスコアを聞き、次の対戦をアナウンスする。仕事の合間に本部近くのコートの試合を観戦することが楽しみの一つであるが、進行係というのは兵庫県の代表選手を県大会からその上の大会に送り出す仕事であると感じている。そのため、私はここ数年兵庫県代表選手の県外での活躍を格別に願うようになった。

 4月下旬に県内各校で予選、5月下旬に総合運動公園テニスコートで県大会が開催された平成22年度兵庫県高等学校春季テニス選手権大会団体戦では園田学園、夙川学院、明石城西、加古川南がベスト4に進出した。決勝では園田学園が夙川学院を3-0で破り優勝し、インターハイへの出場を決めた。また、個人戦は5月のGW中に予選が各校テニスコートで行われ、勝ち上がった選手たちが6月初旬に神戸総合運動公園で行われた県大会に出場した。白熱した戦いの結果、優勝した田中選手(園田)、準優勝の野井選手(駿台甲英)の他、山本選手(園田)、真田選手(園田)、二宮選手(駿台甲英)がインターハイシングルスの兵庫県代表選手となった。また、ダブルスでは優勝した山本・村上組(園田)、準優勝の斎藤・池田組(園田)がインターハイへの切符をつかんだ。余談ながら、県立伊丹の選手が数年ぶりに予選を勝ち上がり、GW後も引退せず県大会に向けて選手として活動を続けられたことが公立高校のテニス部顧問としては本当に嬉しかった。
 8月に沖縄を舞台に開催されたインターハイでは、団体戦では園田学園はスコア的には苦戦する試合もありながら着実に勝ち上がり、準決勝では第一シード校の仁愛女子(福井)を2-1で打ち破り、決勝では富士見丘(東京)に0-2(打ち切り)と敗れたが、全国準優勝を果たした。また、個人戦では、兵庫県勢はシングルスでは山本選手(園田)と田中選手(園田)がともにベスト8まで勝ち上がった。ダブルスでは山本・村上組(園田)が各校の強豪ペアに勝ち進み、決勝戦では第1シードの江口・伊藤組(富士見丘)を破り見事に全国優勝を果たした。兵庫県大会で彼女らの試合を何度も観戦し、時には苦境に立たされながらも二人の息の合ったプレーで劣勢を挽回して勝ち上がる姿を見てきた私としては、彼女らの全国優勝を心から誇らしく感じた。

 その一方で、多くの学校のテニス部では3年生が5月上旬に引退し、1,2年生が新チームの中心となり、新しい一年間が始まっていた。各チームが特色ある練習に日々取り組み、過去最高の平均気温を記録し熱中症が流行した夏も、各校選手・顧問たちは合宿や地域ごとの大会に取り組んだ。阪神地区では、これまではリーグ別に各校テニスコートで行われていた阪神リーグ戦を、浜甲子園・伊丹総合グランドという2会場で男女とも一緒に開催した。1部リーグから5部リーグがある阪神リーグ戦では、チームの勝利を願う仲間の応援を背に受けた選手が一日に3~4試合を汗だくになって戦い、各リーグとも熱戦が繰り広げられた。女子1部リーグ戦には園田学園・雲雀丘学園といった強豪私学高校も顔をそろえ、また上部リーグの最下位チームと下部リーグの優勝チームとの間では8月末に入替戦も行われ、名実ともに熱い夏となった。  平成22年度兵庫県高等学校新人テニス大会個人戦は、8月上旬に県内各校で予選、8月中旬に赤穂海浜公園テニスコートで県大会が開催された。シングルスではベスト4に夙川学院の選手が3名入り、炎天下の大会を制したのは大東選手(夙川)であった。またダブルスでは、大東・高見組(夙川)が優勝し、大東選手は単複の制覇となった。  10月に開催された新人戦団体戦では、公立高校である市立伊丹がベスト8に食い込む健闘を見せた。園田学園、夙川学院、明石城西、雲雀丘がベスト4に入り、決勝リーグ戦を園田学園が3戦全勝で制して優勝した。園田学園は準優勝となった夙川学院とともに春季の全国選抜大会につながる近畿選抜大会にコマを進めた。11月下旬に行われた近畿選抜大会では園田学園が準優勝、夙川学院が第3位となり春季の全国選抜高等学校テニス大会への出場が決定した。

 阪神地区では、公式戦では県大会上位には残れなかった公立高校選手にとっても重要な大会が秋には目白押しである。10月末には近畿公立大会への出場をかけた阪神予選が浜甲子園会場などで行われ、女子は阪神地区からは新人戦団体戦で県ベスト8に進出した市立伊丹と阪神予選を制した宝塚西が県大会に出場した。市立伊丹は11月に行われた県大会でも躍進し、見事に1月に近畿大会への出場を決めた。日頃、練習試合や阪神地区の大会でともに切磋琢磨しているチームが近畿大会という大舞台に出場することは本当に嬉しく感じている。また、11月には各チームシングルス4本・ダブルス3本で争う東阪神リーグ戦が開催され、先輩たちの世代から引き継いだリーグの維持・昇格を目指した選手たちの寒さを感じさせない熱戦が繰り広げられた。また東西阪神の個人戦トーナメントの上位入賞者は、12月下旬に開催される東西阪神対抗戦の代表選手となった。
 県伊丹女子テニス部では冬の厳寒期でも部員は毎朝練習をしている。手がかじかみラケットが満足に握れない日も、コート一面に霜柱が立っていても毎朝である。ウィンタージュニア選手権や、阪神地区のユニークな大会である親潮・黒潮トーナメントに参加するためである。高校生になって初めて硬式テニスのラケットを握った公立高校の選手は、現実としてインターハイには出場できないかもしれないが、阪神間の各校顧問の協力で成り立っている様々なレベルの大会で活躍できる。

 最後に、高体連事務局の仕事を手伝っている立場として回顧させていただくと、選手の登録や各大会へのエントリーがネットシステム化されて今年で2年目である。情報の周知徹底が出来ていない部分やトラブルも多々あるが、おおむねネットシステムの活用も順調になってきたと感じている。もちろん、その裏にはある先生の文字通り血のにじむような昼夜を問わない尽力とここには記せないご苦労があっての成功であることを忘れてはならないだろう。

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