兵庫県高等学校体育連盟テニス部

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平成25年度女子回顧録 宝塚西高等学校 松井千寿子

9月7日(日本時間8日)ブエノスアイレスでは、2020年のオリンピック・パラリンピックは、東京で開催されることが決定し、国民が歓喜した。夏季大会は56年ぶりである。日常でも、暗いニュースの後にスポーツの話題があればたいてい明るくなるように、これは閉塞感のある今の日本を明るく照らしてくれた一報であった。  さて、この機会にテニス競技におけるオリンピック実施について調べてみると、第1回アテネ大会から実施されていたものの、様々な事情で一時除外され、やっと1988年のソウル大会からトーナメントとして復活している。そしてテニス4大大会のキャリア・グランドスラム(キャリアを通じて達する)とオリンピックの金メダルを合わせる獲得することをゴールデンスラムと呼び、何人かがそれを達成している。世界にはすごい選手がいるものだ。私は前回の1964年東京大会のみならず、オリンピックという大会は、動画や写真でしか目にしたことがない。この東京大会に是非、実際の競技を、できうるならばテニス競技も自分の目で生で観戦したいものだ。 さて、我が高体連テニス競技は、今年も様々な白熱した試合が繰り広げられた。今年度最初の団体戦は、3年生最後の闘いとあって、気合いの入った試合であった。まずベスト8に進出したのは、第8シードまでの6校である。第5シードを破った加古川北を葺合が破る。また第6シードの加古川南を啓明学院が接戦の末2-1で破り、8校が顔を揃えた。 次に4強を決めるのだが、第4シードまでは強く、園田学園、相生学院、芦屋学園、夙川学院との戦いとなった。準決勝は、園田学園対夙川学院とのダブルスが60、60、シングルス2も62、62のストレートで、園田学園が勝利をおさめた。芦屋学園と相生学院との試合はダブルスが63、63で勝ったが、シングルスはいずれも、フルセットを行ったが、岸上歌華が勝ち、相生学院が決勝に進む。 決勝では、相生学院の観音堂万友・橘彩音組がセットカウント2-0で簡単に勝負が決まる。シングルス2の西口真央(園田学園)が森歩実(相生学院)に1セットオールと必死に食らいつき健闘するが、第3セットは46と惜しくも負け、シングル1は打ち切りとなり、相生学院の優勝が決定し、インターハイ出場を決定した。 次に個人戦であるが、シングルスは少々波乱の兆しから始まった。第1シード園田学園の上唯希は、4回戦芦屋学園の漁美汐に競られて、68と早くも敗退してしまう。勢いに乗る漁に対して、ノーシードから勝ち上がってきた相生学院の栗本麻菜が8-2で勝つ。さらに勢いに乗る栗本は、準決勝でもストレートで相生学院の岸上歌華を破る。片側の第2・3シードは、何度も戦っている組み合わせであろうこちらも同校対決の観音堂万友と藤本玲穂は長い試合の末、セットカウント2-1で藤本が勝ち、決勝戦も相生学院同士の戦いとなるが、決勝戦はセットカウント2-0のストレートで、藤本玲穂が優勝を決めた。 ダブルスは、第1シードの園田学園の西口・上組が準決勝まで危なげなく進む。またもう一方のサイドの準決勝は、相生学院の同士討ちで、ここでもシングルスで勢いに乗っている栗本・橘組が観音堂・藤本組をセットカウント2-1で破り、決勝進出した。シングルスを全て相生学院に破られた園田学園は、ここは意地の見せ所である。白熱する決勝戦となったが、プレッシャーの中、西口・上組は見事に戦い、チームメイトの願いを果たして優勝した。 県内では無敵の軍団に成長した相生学院は、全国大会ではどこまで勝ち進めるか、期待された。今年のインターハイは福岡県博多の森を中心に開催された。猛暑の中、2回戦神奈川県の横浜清風が初戦となったが、ダブルスは81、シングルス1が86の結果で初戦を突破した。次に数々の名勝負を生んでいる宮崎県代表の宮崎商業との戦いでも、危なげなくセットカウント2-0で勝利し、準々決勝へと駒を進めた。次の相手は東京代表の早稲田実業である。観音堂・橘のダブルスは、楽に63、63で勝利する。しかし、シングルス1の藤本は、早稲田の辻に対して苦戦を強いられた。1セットオールになったが、最終セットでは62で破られる。シングルス2に出場した森は、57と1セットは競ったものの、第2セットは62と負け、ここで団体戦はベスト8という結果で終了した。 今年の夏も猛暑で、比較的雨も少なく、日差しが肌を刺して痛く、アンダーウエアーが手放せない日々が続いた。どこの学校も熱中症対策に苦慮した。中でも8月5日からの新人大会では、帽子の着用を促し、選手の健康管理が課題の戦いとなった。個人戦の予選が始まり、3年生が引退したあとの成長が試される大会となり、勝ち上がった本戦出場者は、19日に残暑が厳しい赤穂海浜公園テニスコートに集まった。96ドローとなって、以前より沢山本戦の雰囲気を味わえるようになったこの大会では、公立高校の選手も38人と数多く出場が果たせた。ベスト8には、上(園田学園)、西尾(明石城西)、東(西宮甲英)、と相生学院の藤原・池内・橘・岸上・栗本5人が進出した。そして、相生は1年生対決の藤原対池内となり、結果藤原が勝利、2年生対決の橘対岸上は岸上が勝ち上がった。ここで負けられない上(園田)は、西尾(城西)に61、藤原に対し、84と危なげなく決勝へ進む。更に岸上は、栗本を75で下した東(甲英)を86で破り、決勝へ進んだ。 決勝は、上が体力消耗のため棄権し、岸上が優勝して今大会は幕を閉じた。  さて、暑さががやっと和らいだ10月5日、新人大会の団体戦予選が始まった。芦屋学園以外のシード校は順当に勝ち上がり、ベスト16が決定した。そして、更にベスト8には相生学院・園田学園・夙川学院・加古川南の4シードと加古川北・啓明学院・雲雀丘と仁川学院を破った甲南女子の4校が本戦出場となった。本戦の準々決勝は、相生・園田・夙川は圧勝した。また同じ地域対決の加古川北と加古川南は、ダブルスがそれぞれ1-1、シングルス1・2も1-1となったが、シングルス3が80と勝ち、加古川北が南を下しベスト4入りを果たした。ここから4校による決勝リーグ戦となる。総体で負けている園田学園は夙川と加古川北の対して5-0と圧勝、残る相生学院にダブルス2つシングルス2つを取り、4-1で全勝となり、春の雪辱を果たし優勝を勝ち取る。準優勝は2勝1敗の相生学院。残る2校対決は、ダブルス・シングルスとも互いに1勝1敗でシングルス3に勝敗はかかった。夙川学院の田中依里奈が加古川北の山内香奈恵に86の接戦の末、3位を夙川学院が死守した。しかし、この新人大会での加古川北の成長ぶりは、目を見張るものがあった。チーム率いる門田監督は過去にも、新人大会団体戦で県で優勝し、全国大会に出場を果たしている。「井の中の蛙」になってはいけないと努力を重ね、実力をつけている公立高校のチームがある。次の春はどのように総体に挑んで来るのであろうか、楽しみである。 私事であるが、今年初めて自チーム宝塚西が近畿公立高等学校大会に出場することができた。秋まで1人も本戦出場を果たせていない2年生中心の奇妙?なチームだが、ただチャレンジする気持ちだけは忘れずにやってきた。県の予選では、勝つ・負けるに関わらず長い試合時間で進行を妨げ、ずいぶんご迷惑をおかけした。そんなチームが上位の大会に出場できたが、そこでは目に見えた成果はほとんどなかった。しかし、そこで実際に試合を経験できたことは、生徒や自分にとってとても大きかった。「井の中の蛙」になってはいけないという言葉が深く胸を突き刺し、客観的に自らを見つめる力を養うために、ここからもっともっと努力が必要であると痛感した。 さて、6年後は、東京で生のオリンピックが体感できるチャンスである。テニス競技でも、日本は現在のエース錦織圭選手をはじめ、若い選手が世界を目指し、これからどんどん力をつけてくることだろう。今後ここ兵庫県からも日本代表となり、世界大会やオリンピックで戦ってくれることを願っている。しかし、世界大会や全国大会には行けなくとも、気持ちは同じく戦いにチャレンジして、毎日一生懸命練習している生徒たちが沢山存在している。そんな生徒たちのために、来年度も微力ながら自分にできることは協力していくことを決意して、今年の回顧を終了するものである。

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