兵庫県高等学校体育連盟テニス部

ホーム資料文献回顧録平成30年度女子回顧録 須磨友が丘高等学校 教諭 三浦 裕子

平成30年度女子回顧録 須磨友が丘高等学校 教諭 三浦 裕子

2018年度は近畿高等学校選抜テニス大会団体戦における相生学院の男女ペア優勝から始まり、兵庫勢の躍進はとどまることを知りませんでした。第75回全国高等学校対抗テニス大会および第108回全国高等学校テニス選手権大会(東海インターハイ・テニス競技/8月2~4日団体戦、5~8日個人戦/霞ヶ浦テニスコート、四日市ドーム、三滝テニスコート)では、女子決勝で相生学院(兵庫)が仁愛女子(福井)を2勝0敗で破り3年ぶり2度目の日本一に耀きました。同校は昨年度の男子団体戦における春夏連覇に続き、女子による春夏連覇という快挙を成し遂げました。また、第41回 全国選抜高校テニス大会 近畿地区大会(11月17~18日/奈良県高市郡・奈良県立橿原公苑明日香庭球場/砂入り人工芝コート)において男女ともに優勝を果たしました。 県内においては平成30年度兵庫県高等学校春季テニス大会の男子団体で相生学院高校、甲南高校、西宮甲英高等学院、神大中等学校がベスト4に勝ち進み、準々決勝戦では関西学院高校のほか、県立須磨東高校、市立西宮高校、県立三木高校など公立高校3校が進出しました。女子団体では相生学院高校、芦屋学園高校、啓明学院高校、園田学園高校がベスト4に進出しました。準々決勝戦には武庫川大付属高校のほか、県立加古川北高校、県立明石城西高校、県立加古川南高校の公立高校3校が進出しました。 また、平成30年度兵庫県高等学校対抗テニス新人大会において、男子団体ベスト4に相生学院高校、甲南高校、関西学院高校、須磨学園高校が進出し、ベスト8に県立三木高校、県立須磨東高校、神戸野田高校、灘高校が進出しました。女子団体ベスト4に相生学院高校、啓明学院高校、県立加古川北高校、市立葺合高校の4校が進出し、ベスト8に園田学園高校、芦屋学園高校、県立加古川南高校、県立伊丹北高校の4校が進出しました。そして、前述の通り全国選抜高校テニス大会近畿地区大会(滋賀県長浜市・長浜バイオ大学ドーム/6月15~17日/砂入り人工芝コート)で相生学院高校が男女ともに優勝、男子団体では甲南高校が3位、女子団体では啓明学院高校が8位入賞を果たしました。これらの輝かしい功績は、日々の教育活動を通じて選手たちにあきらめない心と粘り強く戦い抜く力を育んでこられた先生方のご尽力の結果です。 さて、2018年度には兵庫を揺るがした出来事が二つありました。一つ目は大きな災害に幾度も見舞われたことです。西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された台風7号および梅雨前線の影響による集中豪雨は、気象庁により平成30年度7月豪雨と命名されました。兵庫県下の高等学校でも体育館の屋根が吹き飛んだり、校舎の至る所が水浸しになったりと授業に大きな支障が出ました。また、グラウンドやコートのあらゆる部分が損壊し、復旧に大変な時間がかかるなど部活動にも影響が出ました。さらに10月には台風25号が近畿地方に接近し、新人団体戦予選に向けて準備していた試合会場の多くが順延を余儀なくされました。稀に見る被害をもたらした災害でしたが、生徒たちは力を合わせて学校の復旧に努めたり、助けが必要な近隣の被災現場へボランティアに出向いたりと、部活動を含むこれまでの教育活動を通して身に付けた力を多様な場面で発揮したとともに、日頃からの備えや命の大切さ、人と協働することの大切さに改めて向き合うきっかけを得ることができました。 二つ目は、国の部活動改革が大きく進められたことです。2016年にブラック部活という言葉が拡散し始めてから約2年が経過しますが、この問題に対する世間の関心は依然高いままです。2018年3月にスポーツ庁から「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(以下、ガイドライン)が発表されたことを受け、兵庫県では望ましい運動部活動の在り方に関する方針を示す「いきいき運動部活動」が改訂されました。ガイドラインにおいては、週当たりの活動時間が16 時間を超えないことや、週に2日以上の休養日を設定すること、生徒の強制参加を抑制することが明記され、世間の注目を集めました。この他、望ましい指導として競技種目の特性等を踏まえた科学的トレーニングの積極的な導入や適切な休養、さらには短時間の練習における効果が求められるとともに、 ①説明(言葉で教示) ②手本(動きを観察させてイメージ化) ③試行(繰り返して練習) ④評価(「もう少しこうすればさらに良くなる」(肯定的評価))を通して生徒の自主性・個性を尊重しながら、対話を重視した指導を行うことが奨励されています。一方、問題がある指導として「『負けたのは気合いが足りないからだ』と、高温多湿の体育館で、試合後すぐ、水を飲ませずコートの周りを50 周ランニングさせる」といった具体的なケースなども記されています。大部分の学校については、生徒の望ましい成長を促す教育的配慮がなされた部活動指導が行われており、この改革による大きな影響はなかったかもしれません。それでも、改めて部活動がどうあるべきかを問い直すという点において大きな出来事であったように思います。 社会が急激に変化する中で、学校現場はこれまで当たり前だと捉えてきたものを改めて見直し、時代に合わせた新しい形を模索しているところです。私たち教員の使命は、古くから大切にされてきたことを次世代につなぎつつ、現在には現在の、そして未来には未来の、教育のあるべき姿を実現していくことだと考えます。私たちの多くが確信しているように、教育において部活動が担う役割は一言では表せないほど大きく貴重です。生徒の心と体の成長を支えるという本質的な部活動の意義を大切にしながら、生徒一人ひとりの人生におけるキャリア実現に大きな力を与える部活動の在り方について今後も考えていきたいと思います。

▲ページトップに戻る