兵庫県高等学校体育連盟テニス部

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令和3年度 女子 回顧録 明石城西高等学校 上河 稔

<はじめに> 2021年度も昨年度同様、新型コロナウイルスに振り回される1年であった。 4月25日~6月20日、8月20日~9月30日と長い期間、兵庫県に緊急事態宣言が発令され、部活動においては練習時間や日数の制限、練習試合や大会の制限、団体戦においてもメンバー以外のテニス部員が応援に行けない(無観客試合)など、「当たり前」の活動ができない1年であった。 唐突ですが、「当たり前」の対義語は何だと思いますか。「怪談説法」で話題の京都府・光照山蓮久寺の三木大雲住職によると、それは「有り難い」だそうだ。 三木住職は、仕事が上手く行かず生活が困難な時や、身体を壊してしまった時期を経て、水一滴の大切さ、健康であることの大切さに気付いたそうだ。 「当たり前」だと思っていることは「有ること難し」、つまり「有り難い」ことだと語られていた。 2年前までは、テニスの練習ができて当たり前、試合が開催されて当たり前、チームメイトや保護者がチームの応援ができて当たり前であった。 しかし、この厳しい情勢だからこそ、部活動に取り組んでいるみなさんには、練習ができることや試合に出場できることの「有り難さ」など、常に感謝の気持ちを忘れず、毎日の練習や生活をしてもらいたい。 では、本年度の大会を振り返ってみる。 <総体個人戦・団体戦> 団体戦においては、第1シードの相生学院が5年連続7度目の優勝を果たした。準優勝は第2シードの園田学園、ベスト4には雲雀丘と加古川南が入った。 特に今年度も相生学院の活躍が目立ち、初戦から決勝まで1本も落とすことなく、全試合ストレート勝ちで優勝を果たした。 個人戦においては、シングルスでは里菜央(相生学院)が1年生ながら見事優勝を果たした。ついこの前まで中学生だったとは思えないプレーで上位シードを圧倒した。 特に、ボールコントロールと安定性の高さは目を見張るものがあった。準優勝は石川こころ(相生学院)、第3位に西本稲音(相生学院)、中村藍(園田学園)が入った。 ダブルスでは優勝は武本・石川(相生学院)、準優勝は上林・西本(相生学院)、第3位に小畑・小野(相生学院)、吉田・竹本(園田学園)が入り、単複ともに、団体戦同様、相生学院の活躍が目立った。 <新人戦個人戦・団体戦> 個人戦は、毎日、雨、雨、雨と8月赤穂では珍しいくらい雨にたたられた。 西地区の顧問(ロービングアンパイア)の先生方をはじめ、引率顧問の先生方が率先して水取りなどのコート整備に協力して下さった。 そのおかげで、この大会を終えることができたことを本当に感謝している。 また、当初予定の3日間では全試合消化できず、4日目は会場を「青野運動公苑」に移し試合を行い、なんとかこの大会を終了することができた。 シングルスでは、総体同様、里菜央(相生学院)が優勝を果たした。 巧みなボールコントロールとチェンジオブペースで相手を圧倒し、本戦2回戦~準々決勝はすべて6-0、準決勝6-2、決勝6-3と危なげない試合運びであった。 1 年生ながら、もうすでに王者としての貫禄さえうかがえた。準優勝は永澤亜桜香(西宮甲英)、第3位に小畑コトリ(相生学院)、速水莉南(相生学院)が入った。 ダブルスでは、優勝は大山・永澤(西宮甲英)、準優勝は里・田島(相生学院)、第3位は吉田・竹本(園田)、門脇・小山(西宮甲英)と西宮甲英の活躍が目立った。 西の横綱相生学院、東の横綱西宮甲英という番付であり、一人横綱時代から、二人横綱の時代になったことを思わせる結果であった。 団体戦では相生学院が8年連続8度目の優勝を果たした。最終順位は、優勝:相生学院、準優勝:西宮甲英、第3位:園田、第4位:雲雀丘であった。 しかしながら、今年度の新人団体は、絶対的王者相生学院も簡単な大会ではなかった。 決勝リーグの園田戦では4勝1敗で勝利したものの、ダブルス1が 8-6、シングルス2が9-8(6)、シングルス3が6-8と名門園田に苦しんだ。 また、同じく決勝リーグの西宮甲英戦では結果は3勝2敗で勝利したものの、出場7名中6名が1年生である西宮甲英にここ数年ではないくらい苦しめられる試合となった。 スコアは、シングルス1が8-2、ダブルス1が8-5、シングルス2が4-8、ダブルス2が8-2、シングルス3が5-8であった。 一テニスファンからすると、来年度の新人団体がどうなるのか今から楽しみである。 <公立大会> 昨年度、県公立大会が行われ県代表4校(葺合、明石城西、加古川北、加古川南)が決定されたにもかかわらず、「近畿公立大会」に兵庫県チームが出場することができなかった。 新型コロナウイルスの拡大において、教育委員会が県外での練習試合等を禁止したためであった。 今年度の大会は、昨年度出場権を奪われた先輩たちの無念を胸に後輩たちが挑むという、今までにはない何とも言えない大会であったように思う。 昨年度、幻の近畿公立を決めた4校のうち、加古川北と明石城西が今年度の近畿の切符を勝ち取った。また、宝塚西が第3代表として近畿出場を果たした。 1月5日6日にメンバーのみ会場への入場が許可されるという制限の中で「近畿公立大会」は行われた。 結果は加古川北がベスト4、明石城西がベスト8という結果であった。 この大会後すぐの1月中旬には、全国的に再び新型コロナウイルスの感染者が激増し、1月27日~3月6日と長い期間「まん延防止等重点措置」が兵庫県全域に発令され、練習試合等が禁止となった。なんとか滑り込みセーフで近畿公立大会が行われたこと、出場できた選手たちが一生の思い出を築くことができたことを本当にうれしく思う。 <おわりに> 長年、県高体連役員として高体連の運営と高校テニス界の発展に尽力してくださった、北摂三田高校の高塚一郎先生(副委員長)、伊丹北高校の松井千寿子先生(理事)が本年度をもって役員を退かれます。 また、県高体連委員長を務めてきた加古川北高校の門田聖五先生は、全国常任委員(近畿地区委員長)となり別の立場から県高体連を支えていただくこととなりました。長年本当にありがとうございました。 この場をお借りしてお礼申し上げます。 最後になりますが、部活動は一生の思い出を築くことができるとともに、生徒たちの人間形成の場になると私は強く信じている。 そのような役割を持つ部活動が、来年度こそ「当たり前」に活動できることを切に願う。早く数年前のように高校生のみなさんがチームメイトや保護者の応援のもと、元気にプレーしている姿を見られることを祈念して、この回顧録を終わりとする。

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