兵庫県高等学校体育連盟テニス部

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平成20年度女子回顧録 日ノ本学園高等学校 原安志

 毎年、年末になると日本漢字能力検定協会が全国からの公募によって、その年の「世相を表す漢字」を発表しています。今年は、政治や経済の変化、そして私たちを取り巻く環境や気候などの生活の変化を反映して、「変」という字が選ばれました。兵庫県の女子テニス界においても、今年は大きな変化がみられました。

 4月下旬から6月上旬にかけて、県総合体育大会が開催されました。この県総体は、大多数の3年生にとっては最後の大会となるため、生徒にとっても、また私たちにとっても特別な意味をもつ大会だと思います。まず、団体戦についてですが、今年から本戦は準々決勝から行われるようになりました。今年、予選を勝ち上がった学校は、園田学園・明石城西・駿台甲英・夙川学院・加古川南・芦屋大附・雲雀丘・日ノ本学園の8校でした。そして、第1シードの園田学園、第3シードの駿台甲英、第4シードの夙川学院、第7シードの芦屋大附が準決勝に駒を進めました。残念ながら、私は準決勝及び決勝の試合を観戦することができませんでしたので、試合の模様を克明に記すことができません。ただ、決勝戦での園田学園との激戦を勝ち抜き、初優勝を遂げた駿台甲英は、兵庫県女子テニス界に大きな「変」化をもたらしたのではないでしょうか。兵庫県総体団体戦においては、常に園田学園と夙川学院が優勝を分け合ってきました。この2校以外の学校が優勝したのは、昭和54年の武庫川(現、武庫川女大附)まで遡らなければならず、駿 台甲英の優勝は、実に29年ぶりとなるたいへんな快挙だったのです。確かに、駿台甲英は誰がみても「スター軍団」であることは間違いありません。しかし、北京オリンピックにおいて野球の日本代表チームがメダルを獲得できなかったように、単にスター選手を揃えるだけでは、゛勝てる゛ものではありません。個々の選手たちの力量をひとつのチームとしてまとめた監督の阿形先生の手腕がもたらした成果ではなかったかと思います。

 次に個人戦ですが、私は1・2回戦の試合しか観戦していないのですが、やはりこの大会は、1年間に行われるさまざまな大会の中でももっともレベルの高さを感じました。シングルス準決勝は、山本翔子選手(駿台甲英)vs広瀬杏奈選手(園田学園)、松島美智留選手(園田学園)vs古賀愛選手(駿台甲英)の対戦となりました。結果は、駿台甲英の山本選手・古賀選手がそれぞれストレートで勝ち上がり、同校対決による決勝戦が行われました。そして、古賀選手が見事ストレートで山本選手を下し、栄冠を手にすることができました。また、ダブルスでは、決勝戦は良永・山崎組(園田学園)vs松島・広瀬組(園田学園)という園田学園同士の対戦となり、接戦の末、松島・広瀬組が第6シードからの優勝を果たしました。

 8月に埼玉県で開催された全国総体においては、ダブルスでは松島・広瀬組が準優勝という素晴らしい戦績をあげた他、シングルスでは古賀選手がベスト4、そして、団体戦では駿台甲英が初出場ながらベスト8に入りました。これらの選手、そして指導にあたってこられた先生方の健闘に拍手をおくらせていただきます。

 続いて、新人大会について話しを移します。まず、8月に開催された個人戦ですが、県総体がレベルの高い大会であるのに対して、この新人大会は、開催される時期などからもっとも苛酷な条件で行われる試合ではないかと思います。また、大部分の1年生にとっては初めての公式戦でもあることから、私もこれまで本校で予選会場を運営してきてさまざまなハプニングがおこる大会でもあります。本戦は例年通り赤穂海浜公園で行われました。この大会は数年前から西(東西播)地区が運営を担当することになっているため、私も3日間、試合会場に詰めることになりました。この大会でも目を引いたのは、やはり園田学園と駿台甲英の強さです。シングルスのベスト4には山本翔子選手(駿台甲英)・山崎貴巴選手(園田学園)・大塚弥生選手(園田学園)・大麻智尋選手(駿台甲英)の各選手が勝ち上がりました。そして、決勝はまたしても駿台甲英同士の対戦となり、第1シードの山本選手が大麻選手をストレートで下し、優勝しました。しかし、ダブルスのベスト4には大塚・山崎組、木戸内・小石組、大塚・村上組というように園田学園の3ペ アが勝ち上がり、残るひとつには永井・大麻組(駿台甲英)が入りました。しかし、永井・大麻組は大塚・村上組に敗れ、決勝は大塚・山崎組と大塚・村上組というこれも県総体と同様に園田学園同士の対戦となりました。試合はストレートで大塚・山崎組が勝ちましたが、第1セットが7-5、第2セットがタイブレークというように、とても緊張感のある試合だったように記憶しています。

 続いて10月には新人大会団体戦が行われました。この大会は来年3月に開催される全国選抜大会に繋がるものであるため、昨年までは最低4人でも登録が可能でしたが、今年からは「最低7人以上」で登録しなければならなくなりました。この変更に伴い、参加校は、昨年の88校から76校に減少してしまいました。テニスに限らず、さまざまな種目において、少子化や生徒たちの価値観の変化などから競技人口が減少しています。本校も慢性的に部員不足に悩まされていますが、今後は部員の確保ということが重要な課題になってきたな、ということを実感させられました。さて、試合については、園田学園・神戸・夙川学院・加古川南・仁川学院・芦屋大附・雲雀丘・明石城西の8校が予選を勝ち上がり、準々決勝に進出しました。そして、ベスト4に進んだ園田学園・夙川学院・仁川学院・明石城西の4校によるリーグ戦が行われ、1位園田学園(3勝0敗)、2位明石城西(2勝1敗)、3位夙川学院(1勝2敗)、4位仁川学院(0勝3敗)という結果になりました。なお、園田学園と明石城西は11月に行われた全国選抜テニス近畿大会において、全国選抜大 会への出場権を獲得しました。両校は今年も同大会に出場していますが、来年はさらに上位をめざして頑張ってほしいと思います。

 以上、私なりに平成20(2008)年を振り返ってみました。これまでは、回顧録を「読む側」だった私が、「書く側」になってみて、改めて書くことの難しさを痛感させられました。ましてや、全国大会や近畿大会などの上位大会は勿論、県大会でさえ十分に観戦していなかったため、たいへん粗末な回顧録になってしまったことをお詫びします。

 最後に、今年一年、みなさんは良い年だったでしょうか。私は、それなりに良い年だったように思っています。ただ、現状に満足せず、来年はさらに良く変わっていくことを願って回顧録を終わりたいと思います。

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