クラブの練習後に立ち寄った本屋で見つけた言葉に、足が止まった。物理は全くの門外漢であり、ましてや文系人間の自分にとって、出合う事のなかった本。しかし、クラブ活動としてテニスに携わる中で、その「時間」と「空間」をいかに“使う”かの重要性に、自分自身が気付き始めた“タイミング”という事もあり、おそるおそるその本を手に取ってみる・・・
県総体団体戦。ベスト8には第1~4シードの相生学院・関学・甲南・明石城西、第5~8シードの仁川・市西宮、そして第10シードより芦屋学園、ノーシードより雲雀丘が勝ち上がった。ベスト4には上位シードの4校が駒を進め、決勝戦は相生学院と関学の戦いとなった。結果はS1竹元が6-0,6-2、S2田沼が6-0,6-0と危なげなく勝ち、4年連続4回目の優勝を勝ち取った。
県総体個人戦。シングルスではベスト8進出者が竹元佑亮・田沼諒太・飯島啓斗・加藤隆聖・星野承賢・藤井遼太郎・平松晋之祐・平川響己と全て相生学院勢の戦いとなった。ベスト4には3年生の竹元・田沼・飯島・加藤が勝ち上がり、決勝戦は第1シードの竹元と第2シードの田沼の戦いとなり、セットカウント2-0で竹元が優勝した。ダブルスにおいても相生学院の包囲網を打ち崩す事ができず、ベスト4を独占。決勝戦は竹元・加藤ペアと飯島・田沼ペアの試合となり、2-0で竹元・加藤ペアが勝利した。
福岡県で行われたインターハイ。昨年度インターハイを制覇した相生学院は今年もその力をいかんなく発揮した。第1シードとして臨んだ今大会。2回戦龍谷(佐賀)、3回戦海星(長崎)、4回戦筑陽学園(福岡)という強豪校をストレートで下し、準決勝は近畿地区大会決勝と同一カードの清風(大阪)。ダブルス飯島・加藤(相生学院)が矢多・望月(清風)を6-3、6-1で先勝するも、シングルス1竹元(相生学院)が上杉(清風)に6-1、3-6、0-6で取られ、勝負はシングルス2へ。田沼(相生学院)が坂井(清風)にファーストセットタイブレークで落とすも、セカンドセット6-2、ファイナルセット7-5。雷雨による1面進行、7時間にわたる熱戦を制し決勝進出を果たした。決勝の相手は名門湘南工大附。準決勝の疲れが残っていたのか、惜しくもインターハイ2連覇の夢は届かなかった。団体戦に続けて行われた個人戦。シングルスでは竹元がベスト8、ダブルスでは竹元・加藤、田沼・飯島が共にベスト8に進出するも、全国の強豪にその先を阻まれる結果となった。
8月の赤穂海浜公園で行われた新人大会。シングルスでは平松晋之祐、藤井遼太郎、平川響己、田代悠雅、板倉司季の相生学院勢に高田直幸、新見大晴(関学)と吉田有宇哉(甲南)が相まみえる戦いとなった。結果は相生学院勢がこれを退け、ベスト4を堅守。優勝は9-8(3)で平川が伸び盛りの一年生田代に勝ち優勝した。ダブルスでは近藤・吉田(甲南)が相生学院の牙城を崩し、準決勝で平松・工藤(相生学院)を8-3で破り決勝進出を果たしたが、決勝戦は第1シードの藤井・平川(相生学院)に8-5で惜敗した。
続く近畿高等学校テニス大会では、藤井遼太郎(相生学院)が本城和貴(京都/東山)を6-1で破り、優勝した。
10月に行われた新人戦団体。ベスト4に相生学院・甲南・関学・芦屋学園が進出。ベスト8には明石城西・仁川・三田・報徳が勝ち進んだ。決勝リーグにおいても相生学院の強さが際立ち、3試合を全て5-0のストレート勝ちをおさめ5年連続の優勝を決めた。近畿選抜への出場をかけた2位争い甲南対関学は熾烈を極め、D1:9-7、D2:9-7、S1:8-1、S2:2-8、S3:9-7で甲南が関学の猛追を振り払い、選抜への切符を掴み取った。兵庫県予選を勝ち抜いた相生学院・甲南高校は近畿大会でも勢いそのままに、甲南は2回戦で東山(京都)を3-2で破り3位に入り、相生学院は決勝戦、大阪産大附を3-1で勝ち近畿1位で全国選抜行きを決めた。
アインシュタインの特殊相対性理論によれば、時間の進み方、そして物や空間の長さ(距離)は、見る立場によってかわりうる、つまり相対的である(らしい)。近年のラケットの軽量化と性能、また個々の技術力向上も加わり、本戦の上位の選手のプレー、打球は、コートという宇宙空間を光速に近い速度で進む宇宙船のようだ。宇宙船の中(ラケットを振る選手)と宇宙船外にいる対戦相手とでは、時間と空間が入りまじる。光速に近づくほど、時間の流れは遅くなり、物の長さは縮む。速度を手にすることはテニスにおける「時空」をコントロールする事になるのだろう。でも、速い打球を打つ事が全てなのだろうか?いや、そうは思わない。その球速に対してさらなる速さを求めるのも1つだが、最高に遅いボールを、ネットという概念も壊すほど高く、宇宙船の中にいる相手にいつまで“経っても”打てないボールをルールに則り返球する。そんな事を考えながら、今日も滞空時間の長いボールを打ち続けている・・・
限りない挑戦と可能性に賭けてテニスに打ち込む姿を今年も期待したい。共に同じ時間と場所にいれる奇跡に感謝して…
灼熱の沖縄で開催された平成22年度インターハイは、ちょうど100回目の記念大会であった。第1回大会は1908年に「全国中学校庭球選手権大会」として大阪府堺市で開催された。戦争で2回中断されたため、平成22年の今年でちょうど100回目である。この歴史の重みと節目の大会が大戦の影響を長く受け続けている沖縄で開催されたことに、社会科教員である私は格別の思いをもった。残念ながら、私は沖縄インターハイを観戦する機会がなかったため、以下のインターハイおよび県大会以上の諸大会に関する記述は後に得た情報を集約したものである。また、県内外でこの1年間に開催されたすべての大会の記録を紹介することは紙面の制約上および私の文章力のなさのため不可能であることをお許しいただきたい。
私はここ数年、諸大会の県大会の進行・記録係を担当させていただいている。特に進行係は、インターハイや選抜大会への出場を決める大切な試合のコート割りや試合開始時間を決定する仕事であり、オーダーオブプレイに対戦表を貼り付けていくたびにひそかに私は緊張をしている。そして、試合の勝者からスコアを聞き、次の対戦をアナウンスする。仕事の合間に本部近くのコートの試合を観戦することが楽しみの一つであるが、進行係というのは兵庫県の代表選手を県大会からその上の大会に送り出す仕事であると感じている。そのため、私はここ数年兵庫県代表選手の県外での活躍を格別に願うようになった。
4月下旬に県内各校で予選、5月下旬に総合運動公園テニスコートで県大会が開催された平成22年度兵庫県高等学校春季テニス選手権大会団体戦では園田学園、夙川学院、明石城西、加古川南がベスト4に進出した。決勝では園田学園が夙川学院を3-0で破り優勝し、インターハイへの出場を決めた。また、個人戦は5月のGW中に予選が各校テニスコートで行われ、勝ち上がった選手たちが6月初旬に神戸総合運動公園で行われた県大会に出場した。白熱した戦いの結果、優勝した田中選手(園田)、準優勝の野井選手(駿台甲英)の他、山本選手(園田)、真田選手(園田)、二宮選手(駿台甲英)がインターハイシングルスの兵庫県代表選手となった。また、ダブルスでは優勝した山本・村上組(園田)、準優勝の斎藤・池田組(園田)がインターハイへの切符をつかんだ。余談ながら、県立伊丹の選手が数年ぶりに予選を勝ち上がり、GW後も引退せず県大会に向けて選手として活動を続けられたことが公立高校のテニス部顧問としては本当に嬉しかった。
8月に沖縄を舞台に開催されたインターハイでは、団体戦では園田学園はスコア的には苦戦する試合もありながら着実に勝ち上がり、準決勝では第一シード校の仁愛女子(福井)を2-1で打ち破り、決勝では富士見丘(東京)に0-2(打ち切り)と敗れたが、全国準優勝を果たした。また、個人戦では、兵庫県勢はシングルスでは山本選手(園田)と田中選手(園田)がともにベスト8まで勝ち上がった。ダブルスでは山本・村上組(園田)が各校の強豪ペアに勝ち進み、決勝戦では第1シードの江口・伊藤組(富士見丘)を破り見事に全国優勝を果たした。兵庫県大会で彼女らの試合を何度も観戦し、時には苦境に立たされながらも二人の息の合ったプレーで劣勢を挽回して勝ち上がる姿を見てきた私としては、彼女らの全国優勝を心から誇らしく感じた。
その一方で、多くの学校のテニス部では3年生が5月上旬に引退し、1,2年生が新チームの中心となり、新しい一年間が始まっていた。各チームが特色ある練習に日々取り組み、過去最高の平均気温を記録し熱中症が流行した夏も、各校選手・顧問たちは合宿や地域ごとの大会に取り組んだ。阪神地区では、これまではリーグ別に各校テニスコートで行われていた阪神リーグ戦を、浜甲子園・伊丹総合グランドという2会場で男女とも一緒に開催した。1部リーグから5部リーグがある阪神リーグ戦では、チームの勝利を願う仲間の応援を背に受けた選手が一日に3~4試合を汗だくになって戦い、各リーグとも熱戦が繰り広げられた。女子1部リーグ戦には園田学園・雲雀丘学園といった強豪私学高校も顔をそろえ、また上部リーグの最下位チームと下部リーグの優勝チームとの間では8月末に入替戦も行われ、名実ともに熱い夏となった。 平成22年度兵庫県高等学校新人テニス大会個人戦は、8月上旬に県内各校で予選、8月中旬に赤穂海浜公園テニスコートで県大会が開催された。シングルスではベスト4に夙川学院の選手が3名入り、炎天下の大会を制したのは大東選手(夙川)であった。またダブルスでは、大東・高見組(夙川)が優勝し、大東選手は単複の制覇となった。 10月に開催された新人戦団体戦では、公立高校である市立伊丹がベスト8に食い込む健闘を見せた。園田学園、夙川学院、明石城西、雲雀丘がベスト4に入り、決勝リーグ戦を園田学園が3戦全勝で制して優勝した。園田学園は準優勝となった夙川学院とともに春季の全国選抜大会につながる近畿選抜大会にコマを進めた。11月下旬に行われた近畿選抜大会では園田学園が準優勝、夙川学院が第3位となり春季の全国選抜高等学校テニス大会への出場が決定した。
阪神地区では、公式戦では県大会上位には残れなかった公立高校選手にとっても重要な大会が秋には目白押しである。10月末には近畿公立大会への出場をかけた阪神予選が浜甲子園会場などで行われ、女子は阪神地区からは新人戦団体戦で県ベスト8に進出した市立伊丹と阪神予選を制した宝塚西が県大会に出場した。市立伊丹は11月に行われた県大会でも躍進し、見事に1月に近畿大会への出場を決めた。日頃、練習試合や阪神地区の大会でともに切磋琢磨しているチームが近畿大会という大舞台に出場することは本当に嬉しく感じている。また、11月には各チームシングルス4本・ダブルス3本で争う東阪神リーグ戦が開催され、先輩たちの世代から引き継いだリーグの維持・昇格を目指した選手たちの寒さを感じさせない熱戦が繰り広げられた。また東西阪神の個人戦トーナメントの上位入賞者は、12月下旬に開催される東西阪神対抗戦の代表選手となった。
県伊丹女子テニス部では冬の厳寒期でも部員は毎朝練習をしている。手がかじかみラケットが満足に握れない日も、コート一面に霜柱が立っていても毎朝である。ウィンタージュニア選手権や、阪神地区のユニークな大会である親潮・黒潮トーナメントに参加するためである。高校生になって初めて硬式テニスのラケットを握った公立高校の選手は、現実としてインターハイには出場できないかもしれないが、阪神間の各校顧問の協力で成り立っている様々なレベルの大会で活躍できる。
最後に、高体連事務局の仕事を手伝っている立場として回顧させていただくと、選手の登録や各大会へのエントリーがネットシステム化されて今年で2年目である。情報の周知徹底が出来ていない部分やトラブルも多々あるが、おおむねネットシステムの活用も順調になってきたと感じている。もちろん、その裏にはある先生の文字通り血のにじむような昼夜を問わない尽力とここには記せないご苦労があっての成功であることを忘れてはならないだろう。
「インターハイ100年の記憶 テニスはすべての競技に先立ち一世紀を刻む」美ら海沖縄総体2010において、テニス競技(個人戦)が第100回大会を迎えたことを記念し、こんなタイトルの冊子が作成された。もう、4年も前のことになるが、兵庫でのインターハイ・テニス競技の開催に運営委員として携わったことを思い出しながら、数多くある総体種目の中で、自分が部活動の顧問として係わっているテニス競技が真っ先に100回大会を迎える伝統種目であることを嬉しく思う。さらに回を重ねながら、部活動競技として発展していくことを願っている。さて、前置きはこれくらいにして、今年度の大会を振り返ってみたい。
【総合体育大会】
学校創立とともに創部3年目の相生学院は、新1年生に国内ジュニアトップレベルの選手を加えて3学年が揃い、その圧倒的な強さを見せ付けた。
まず、団体戦。ベスト8に名乗りを上げたのは、相生学院、関西学院、甲南、明石城西、報徳学園、芦屋学園、仁川学院、啓明。このうち相生学院、甲南、明石城西の3校は、シード順位どおり、ベスト4に駒を進めたが、第2シードの関西学院は、第7シードの仁川学院に1-2で敗退。仁川学院は、5年ぶりに総体団体ベスト4入りを果たした。準決勝の相生学院-明石城西戦は相生学院が、甲南-仁川学院戦は甲南が、いずれも3-0で勝利して決勝進出。初優勝を目指す新鋭の相生学院と、14年ぶり21回目の優勝を目指す古豪の甲南との対決となった。相生学院は昨年度末の3月の全国選抜でベスト8入りし、全国へ名乗りを上げたところ。対する甲南も一昨年度末の全国選抜で3位入賞時のメンバー3人を擁していた。3年生対決となったダブルスは、金江・大西(甲南)が嶋田・長南(相生学院)にフルセットの末に逆転勝利。シングルス1は池川浩史(相生学院)が、セカンドセットを取り返して粘る上原伊織(甲南)をフルセットで下した。ポイント1-1で勝敗がかかったシングルス2は、ジュニア・デビスカップ日本代表のスーパー・ルーキー河内一真(相生学院)がストレートで古村賢太(甲南)に勝利し、2-1で相生学院が初優勝を遂げた。
個人戦のシングルスは、準決勝で第1シードの上原伊織(甲南)が第4シードの河内一真(相生学院)に2-0破れ、第2シードの池川浩史(相生学院)が第3シードの金江紀幸(甲南)に2-0で敗退した。結果、決勝は第3シードと第4シードの甲南-相生学院対決となったが、河内一真がストレートで勝利し、1年生デビューを優勝で飾った。ダブルスでも準決勝は長南・諌山(相生学院)-大西・金江(甲南)、上原・古村(甲南)-宇治・嶋田(相生学院)の相生学院v.s.甲南カードとなったが、こちらはいずれも相生学院勢が勝利し、決勝は長南・諌山が宇治・嶋田を2-0で下して優勝した。
団体戦、個人戦単複ともに勝利を収めた相生学院は、8月の沖縄総体において、団体戦では春の全国選抜に続きベスト8、個人戦ではシングルスで河内一真が3位入賞と活躍した。
【新人大会】
8月の個人戦でも、相生学院勢の活躍が目立った。シングルスではベスト8の8名の中に6名の相生学院の選手が名を連ね、またダブルスでも、ベスト4の4組の中で3組が相生学院のペアであった。シングルスの残り2名は、総体でも活躍していた古村賢太(甲南)と西村顕人(関西学院)。また、ダブルスの残り一組は木ノ下・古村(甲南)であった。相生学院が単複とも優勝、準優勝のタイトルを獲得し、3年生引退後の新チームにおいても、相生学院の層の厚さを実感する結果となった。
10月に行われた団体戦。ベスト8に入った相生学院、甲南、関西学院、仁川学院、三田、小野、雲雀丘学園、報徳学園の8校のうち、上位4シードの相生学院、甲南、関西学院、仁川学院がベスト4に進出。4校による8ゲームプロセットの5ポイントによるリーグ戦が、神戸しあわせの村テニスコートで行われた。結果は3対戦とも5-0で勝利した相生学院の圧勝であったが、全国選抜近畿地区予選へのもう1つの出場枠の獲得につながった甲南-関西学院の対戦は、昨年同様の接戦となった。両チームの熱い応援の中、関西学院が3-2で勝利した。そして11月に行われた全国選抜近畿地区予選では、相生学院が優勝、関西学院が5位という成績を収めた。続く3月の全国選抜大会での活躍が期待される。
テニス部の顧問を務めるようになって13年。前任校の赤穂高校での10年間は、隣接する赤穂海浜公園で行われた県大会や近畿大会の大会運営に傍わりながら、兵庫県の高校テニスのレベルの高さを目の当たりにしてきたが、今そのレベルは、さらに上の極みに達しようとしていると思う。すばらしい能力を持った選手たちが兵庫県にやって来ていることは間違いないと思うが、彼らを導き、支え、そして伸ばしている顧問の先生方の情熱、努力、忍耐、苦悩…は並々ならぬものだろう。全国トップレベルの勝負の世界は、自分には計り知れないものがある。ただ、そこから自分の日々の取り組みの姿勢に目を向けたとき、考えることはある。今回の回顧録の執筆を、もう一度、初心に返って取り組むきっかけにしたい。
「ワーッショイ、ワーッショイ。」
新人大会団体戦予選、ベスト8掛けの最後のポイントを決めた時、ベンチで思わずガッツポーズをした。礼をした後、生徒が寄ってきたかと思うと、そのまま担ぎ上げられ、宙を舞った。下ろされた後、生徒に「先生、落ちていました。」と、買い換えたばかりの携帯電話を渡された。ディスプレイにヒビが入っていた。心の中で「あーっ」と叫んだが、抱き合って喜んでいる生徒達を見ていると、すぐにそんなことは忘れて、自分も初のベスト8の喜びに浸った。今年は生徒のおかげで良い思いをたくさんさせてもらった。
しかし、良いこともあればその逆もあり、今、回顧録を書いている。あまり上位の選手の試合を観戦していなかったこともあり、歴代の先生方のような試合の様子が目に浮かぶような文章を書くことができないことをお許し願います。
第31回全国選抜高校テニス大会には、園田と明石城西が出場した。30年連続30回目の出場をはたした園田は、2回戦5-0、3回戦3-0と順調に勝ち上がり、準々決勝で長野の松商学園を3-1で、準決勝で福岡の柳川を3-1で降し、決勝は福井の仁愛女子に3-1で勝ち、5年ぶり11回目の優勝を果たした。2年連続3回目の出場を果たした明石城西は、1回戦5-0、2回戦3-2と勝ち上がり、3回戦で宮崎商業に1-3で敗れたが、見事ベスト16に進出を果たした。
兵庫県高等学校春季テニス大会団体戦では、園田、明石城西、駿台甲英、夙川、仁川、神戸、加古川南、芦屋学園が、予選を勝ち上がり本戦に出場した。準々決勝は園田2-0芦屋学園、夙川2-0仁川、駿台甲英2-0神戸、明石城西2-0加古川南と、上位シードが実力通りにベスト4に進出した。準決勝は園田2-0夙川、駿台甲英2-1明石城西となり、決勝は一昨年から3年連続同じ組み合わせで、駿台甲英と園田との対決となった。D大麻・野井vs大塚・村上が26、06、S1古賀vs真田が63、60、S2山本翔子vs山本みどりが61、64となり、駿台甲英が2年連続2回目の優勝を果たした。春の全国選抜優勝校の園田が県予選で敗退して全国総体に出場することができないという事実に、兵庫県のレベルの高さをあらためて実感した。
個人戦のシングスは、園田23名、夙川11名、明石城西8名、駿台甲英4名、芦屋学園・加古川南3名ら68名が本戦に出場した。ベスト4には古賀・山本・大麻(駿台甲英)、山﨑(園田)が勝ち上がった。決勝は駿台甲英対決となり、古賀が山本を61、63で降して優勝した。全国総体への出場権はベスト4の4人と山本(園田)が獲得した。ダブルスは、園田13組、夙川5組、明石城西4組ら34組が本戦に出場した。ベスト4には山﨑・大塚、田中・真田(園田)、山田・望月(夙川)、亀山・戸高(明石城西)が勝ち上がった。決勝は山﨑・大塚(園田)が山田・望月(夙川)を64、60で降して優勝した。決勝を戦った2組と亀山・戸高(明石城西)が全国総体の出場権を得た。
全国高等学校総合体育大会団体戦では、第1シードの駿台甲英が2回戦を長野の松商学園に3-0、3回戦は三重の四日市商に2-0、準々決勝は岐阜の県岐阜商に2-0、準決勝は福岡の柳川に2-1と順調に勝ち上がった。決勝は福井の仁愛女子で、D大麻・野井が46、62、26、S1古賀が26、36と惜しくも敗れ、準優勝となった。またシングルスでは、古賀(駿台甲英)がベスト4に、ダブルスでは、山﨑・大塚(園田)がベスト8となった。
兵庫県高等学校新人テニス大会の個人戦シングルスでは、園田17名、夙川10名、加古川南8名、明石城西・雲雀丘6名、武庫川大附4名ら80名が本戦に出場した。ベスト4には山本・真田・宇佐美(園田)、野井(駿台甲英)が勝ち上がった。決勝は園田対決となり、山本が真田を64、36、63で降して優勝した。ダブルスでは、園田9組、夙川6組、雲雀丘5組、加古川南4組、明石城西3組ら40組が本戦に出場した。ベスト4は、村上・山本、真田・斎藤、田中・宇佐美、天米・池田の4組で、園田が独占した。決勝は村上・山本が真田・斎藤を61、60と降して優勝した。
団体戦は、園田、夙川、明石城西、加古川南、雲雀丘、武庫川大附、龍野、啓明が、予選を勝ち上がり本戦に出場した。準々決勝は園田5-0龍野、雲雀丘3-2加古川南、明石城西5-0啓明、夙川5-0武庫川大附となった。ベスト4の学校による決勝リーグは、園田が3勝0敗で1位、夙川が2勝1敗で2位、明石城西が1勝2敗で3位、雲雀丘が0勝3敗で4位となった。園田は4年連続26回目の優勝を果たした。
第32回全国選抜高校テニス大会近畿地区大会の決勝は兵庫対決となった。園田が夙川に3-0で勝利し、2年連続優勝を果たした。近畿1位・2位で全国選抜への出場権を得た両校の活躍を期待したい。
第7回近畿公立高等学校テニス大会の兵庫県予選には、兵庫・神戸・市伊丹・伊丹北・加古川南・龍野・洲本・豊岡の8校が各地区を代表して出場した。加古川南が3戦全勝して1位で7回連続出場を決め、龍野が3勝1敗で2位となり初出場を決めた。近畿大会では加古川南が4戦全勝し、4回目の優勝を果たした。龍野は1勝3敗でベスト8となった。
新人の本戦で、園田の圧倒的な実力を前にしても、高校からテニスを始めた龍野の選手は、往生際の悪いプレーを最後まで見せてくれた。公立高校大会で出会った選手達は、コート内は当然、コート外でも実に清々しかった。自分で限界をつくって諦めるのでなく諦めてしまう弱い自分を乗り越える、自分を支えてくれている周りの人々に感謝しつつ自分も周りの人々のために生きることを喜びとする、そうやって、テニスを通じて人間的に成長する、というような話を生徒にはよくしてきた。しかし、自分が言葉で話したことを背中で語っているか、逆に生徒の背中から教えられているのではないか、と思わされた。テニスを通じて生徒の成長を促しながら、生徒の成長する姿から自分も成長させてもらっている。今年は今まで以上に生徒に感謝しつつ、締切ぎりぎりまで原稿を書けない弱い自分を少しずつでも乗り越えようと反省しながら、これからも兵庫県のテニス界の頑張りがテニス以外にも良い影響が及ぶことを期待して、平成21年度の回顧を終わります。
毎年、年末になると日本漢字能力検定協会が全国からの公募によって、その年の「世相を表す漢字」を発表しています。今年は、政治や経済の変化、そして私たちを取り巻く環境や気候などの生活の変化を反映して、「変」という字が選ばれました。兵庫県の女子テニス界においても、今年は大きな変化がみられました。
4月下旬から6月上旬にかけて、県総合体育大会が開催されました。この県総体は、大多数の3年生にとっては最後の大会となるため、生徒にとっても、また私たちにとっても特別な意味をもつ大会だと思います。まず、団体戦についてですが、今年から本戦は準々決勝から行われるようになりました。今年、予選を勝ち上がった学校は、園田学園・明石城西・駿台甲英・夙川学院・加古川南・芦屋大附・雲雀丘・日ノ本学園の8校でした。そして、第1シードの園田学園、第3シードの駿台甲英、第4シードの夙川学院、第7シードの芦屋大附が準決勝に駒を進めました。残念ながら、私は準決勝及び決勝の試合を観戦することができませんでしたので、試合の模様を克明に記すことができません。ただ、決勝戦での園田学園との激戦を勝ち抜き、初優勝を遂げた駿台甲英は、兵庫県女子テニス界に大きな「変」化をもたらしたのではないでしょうか。兵庫県総体団体戦においては、常に園田学園と夙川学院が優勝を分け合ってきました。この2校以外の学校が優勝したのは、昭和54年の武庫川(現、武庫川女大附)まで遡らなければならず、駿 台甲英の優勝は、実に29年ぶりとなるたいへんな快挙だったのです。確かに、駿台甲英は誰がみても「スター軍団」であることは間違いありません。しかし、北京オリンピックにおいて野球の日本代表チームがメダルを獲得できなかったように、単にスター選手を揃えるだけでは、゛勝てる゛ものではありません。個々の選手たちの力量をひとつのチームとしてまとめた監督の阿形先生の手腕がもたらした成果ではなかったかと思います。
次に個人戦ですが、私は1・2回戦の試合しか観戦していないのですが、やはりこの大会は、1年間に行われるさまざまな大会の中でももっともレベルの高さを感じました。シングルス準決勝は、山本翔子選手(駿台甲英)vs広瀬杏奈選手(園田学園)、松島美智留選手(園田学園)vs古賀愛選手(駿台甲英)の対戦となりました。結果は、駿台甲英の山本選手・古賀選手がそれぞれストレートで勝ち上がり、同校対決による決勝戦が行われました。そして、古賀選手が見事ストレートで山本選手を下し、栄冠を手にすることができました。また、ダブルスでは、決勝戦は良永・山崎組(園田学園)vs松島・広瀬組(園田学園)という園田学園同士の対戦となり、接戦の末、松島・広瀬組が第6シードからの優勝を果たしました。
8月に埼玉県で開催された全国総体においては、ダブルスでは松島・広瀬組が準優勝という素晴らしい戦績をあげた他、シングルスでは古賀選手がベスト4、そして、団体戦では駿台甲英が初出場ながらベスト8に入りました。これらの選手、そして指導にあたってこられた先生方の健闘に拍手をおくらせていただきます。
続いて、新人大会について話しを移します。まず、8月に開催された個人戦ですが、県総体がレベルの高い大会であるのに対して、この新人大会は、開催される時期などからもっとも苛酷な条件で行われる試合ではないかと思います。また、大部分の1年生にとっては初めての公式戦でもあることから、私もこれまで本校で予選会場を運営してきてさまざまなハプニングがおこる大会でもあります。本戦は例年通り赤穂海浜公園で行われました。この大会は数年前から西(東西播)地区が運営を担当することになっているため、私も3日間、試合会場に詰めることになりました。この大会でも目を引いたのは、やはり園田学園と駿台甲英の強さです。シングルスのベスト4には山本翔子選手(駿台甲英)・山崎貴巴選手(園田学園)・大塚弥生選手(園田学園)・大麻智尋選手(駿台甲英)の各選手が勝ち上がりました。そして、決勝はまたしても駿台甲英同士の対戦となり、第1シードの山本選手が大麻選手をストレートで下し、優勝しました。しかし、ダブルスのベスト4には大塚・山崎組、木戸内・小石組、大塚・村上組というように園田学園の3ペ アが勝ち上がり、残るひとつには永井・大麻組(駿台甲英)が入りました。しかし、永井・大麻組は大塚・村上組に敗れ、決勝は大塚・山崎組と大塚・村上組というこれも県総体と同様に園田学園同士の対戦となりました。試合はストレートで大塚・山崎組が勝ちましたが、第1セットが7-5、第2セットがタイブレークというように、とても緊張感のある試合だったように記憶しています。
続いて10月には新人大会団体戦が行われました。この大会は来年3月に開催される全国選抜大会に繋がるものであるため、昨年までは最低4人でも登録が可能でしたが、今年からは「最低7人以上」で登録しなければならなくなりました。この変更に伴い、参加校は、昨年の88校から76校に減少してしまいました。テニスに限らず、さまざまな種目において、少子化や生徒たちの価値観の変化などから競技人口が減少しています。本校も慢性的に部員不足に悩まされていますが、今後は部員の確保ということが重要な課題になってきたな、ということを実感させられました。さて、試合については、園田学園・神戸・夙川学院・加古川南・仁川学院・芦屋大附・雲雀丘・明石城西の8校が予選を勝ち上がり、準々決勝に進出しました。そして、ベスト4に進んだ園田学園・夙川学院・仁川学院・明石城西の4校によるリーグ戦が行われ、1位園田学園(3勝0敗)、2位明石城西(2勝1敗)、3位夙川学院(1勝2敗)、4位仁川学院(0勝3敗)という結果になりました。なお、園田学園と明石城西は11月に行われた全国選抜テニス近畿大会において、全国選抜大 会への出場権を獲得しました。両校は今年も同大会に出場していますが、来年はさらに上位をめざして頑張ってほしいと思います。
以上、私なりに平成20(2008)年を振り返ってみました。これまでは、回顧録を「読む側」だった私が、「書く側」になってみて、改めて書くことの難しさを痛感させられました。ましてや、全国大会や近畿大会などの上位大会は勿論、県大会でさえ十分に観戦していなかったため、たいへん粗末な回顧録になってしまったことをお詫びします。
最後に、今年一年、みなさんは良い年だったでしょうか。私は、それなりに良い年だったように思っています。ただ、現状に満足せず、来年はさらに良く変わっていくことを願って回顧録を終わりたいと思います。
本年も最後の公式戦・ウィンタージュニアが終わり、「練習納め」を明日に迎える2007年12月27日、その日は真冬とは思えない暖かい気温で、北からの風もなく、まさに小春日和であった。一年を通してもこんな快晴は滅多になく、空は雲一つなく、どこまでも天が続くような透き通るスカイブルーであった。実は前日の練習試合で私はある部員に対して、その不甲斐なさを厳しく叱責し、それが原因で胃痙攣を起こさせてしまっていた。立ち直った彼女はその日の練習にも、朝から頑張って取り組んでいたのであった。その日は二部練で、昼食を挟んで午後からの練習開始時間にコートに現れた私は、彼女を含む我が校の部員全員に
「おい!コートで大の字になって寝るぞ!」と切り出した。
「.....ハイ。」
こんな指示をしたのは初めてなので、部員が戸惑っているのが手にとるようにわかった。
「こんな気持ちのよい天気は滅多にないっ。皆で空を見るぞ。」
「ハイッ!」
オムニコートの温もりを伸ばした背中に感じ、見上げた天空は予想を遙かに超えるスケールの大きさで、我を忘れ、心が洗われた。部員も「気持ちいい」とか「スゴイ」とか思いっきりリラックスしている様子がうかがえた。思わず私は真っ黄色のニューボールを天高くヒットした。「ウワー!最高!!」と聞こえたのも束の間、ボールはある部員を直撃する勢いで急降下!焦った部員は逃げまくった。それを見た他の部員は笑い転げて、その笑い声はスカイブルーに吸収されていった。前日の胃痙攣騒動といい、その日のほのぼのとした練習前の風景といい、これが部活動の醍醐味だと思い、そんな些細な出来事も私の大切な今年の回顧となるのである。しかし今年は高体連の回顧録を書けと言われ、例年同様兵庫県の上位陣の活躍を記すはめとなった。県の上位に我が校が食い込んだわけでもなく、執筆が回ってくるとは予期せず一年間ボーっと大会に臨んできて、なおかつ記憶力に乏しい私には、これまで執筆された先生方のように、手に汗握る大会の詳しい描写はできなかったことを先に一言お詫び申し上げたい。
4月からの県総体・団体の予選を勝ち抜いてきた四校は、戦前の予想通り上位シードの四校であった。園田学園、夙川学院、明石城西そして駿台甲英である。準決勝の一つ目は第1シードの園田がダブルスとシングルス2をそれぞれストレートでとり、第4シード明石城西をくだした。そして二つ目の準決勝は"旋風"を巻き起こした第3シード駿台甲英と第2シード夙川学院の対戦である。この対戦は夙川が健闘を見せたが、最後は駿台が接戦の末2-1で競り勝った。"旋風"というのは、駿台甲英はご存じの通り、ここ数年ジュニアの有望選手が集まり始め、急速に兵庫県テニス界上位に食い込んできた学校である。そして今春、全日本室内選抜ベスト4など数々の実績を残している古賀愛を始め、強豪選手を擁し、団体戦初出場ながらインターハイの切符を獲得しようと、この大会に臨んできたのである。さて、その駿台・古賀に対して夙川シングルス1の林は第二セットをタイブレークに持ち込み、あと一歩ということろまで追い込んだ。しかし惜しくも敗戦、夙川の敗退を決定づけた。こうして決勝は園田学園と、団体戦初出場で初の 決勝に進出した駿台甲英の組み合わせとなった。決勝戦の結果はダブルスとシングルス2を園田がともにストレートでとり、園田の勝利を決定づけたのであるが、途中棄権に終わった園田シングルス1の鍋谷が駿台・古賀に対してタイブレークの末に第一セットをとったことは、さぞかし両隣で進行している園田の選手に大きな勇気と力を与えたことであろう。昨年のウィンタージュニアにおいて二人は決勝戦で対戦しているのであるが、その時鍋谷は古賀にストレートであっさり敗れている。その同じ組み合わせとは思えない鍋谷の"好スタート"であった。暑さ対策、個別対策、技術的精神的成長、執念、意地、いろんな要素が絡んでいたと推測される。こうして今年の兵庫県高校総体は3-0で園田が優勝、全国総体の切符を獲得した。
そして"青春・佐賀総体"における園田学園。まず石川の星陵を2回戦であっさりくだし、3回戦では強豪・神奈川の湘南工大付属に対して接戦の末、競り勝った。準々決勝ではこれまた強豪校・静岡の富士見ヶ丘を相手に接戦をするが、遂に力尽き、惜しくもベスト8に終わった。残念ながら兵庫県代表は昨年の兵庫インターハイに引き続き今年も全国の覇者となることはできなかった。しかし、テニス王国・兵庫の名に恥じない立派な"ベスト8"であったといえよう。
個人戦は県総体シングルスにおいて堂々と優勝した鍋谷(園田)、決勝戦で団体の決着をつけたかったが無念の準優勝に終わった古賀(駿台甲英)、準決勝に進んだ松島(園田)、林(夙川)の4人が全国総体に出場。そして全国総体では古賀がベスト8、鍋谷が16入りの健闘を見せた。ダブルスでは県総体優勝の広瀬・松島組、同準優勝の鍋谷・内仲組(以上園田)、そして同3位の林・井若組(夙川)が出場した。鍋谷・内仲組が全国の舞台でも決勝まで駒を進め、決勝戦では長尾谷の選手に敗れたものの見事インターハイ準優勝に輝いた。大健闘である。
今年から新人大会の個人戦は昨年までの県民大会の日程・会場で行われることになり、近畿高校テニス大会への選考会も兼ねる高体連主催の大会となった。新人大会においてもまず個人戦で園田学園の活躍が目立ち、シングルスで本戦に出場した選手は最多の21名であり、層の厚さは群を抜いた。因みに本戦出場数が多い学校は、続く城西の8名、夙川の7名、そして仁川学院からの6名であった。駿台甲英は部員全員の5名が本戦に出場しただけでなく、上位に進出し5名全員が近畿大会の出場権を得た。あっぱれ!!優勝は駿台の古賀で、決勝戦では園田の松島をストレートでくだした。またダブルスではベスト4の3組が園田勢で、決勝戦も園田どうしとなった。同校決勝を征したのは広瀬・松島組で、準優勝は良永・大塚組であった。
団体戦については、予選が昨年までの日程と少し変わって10月初旬に行われた。県総体、新人個人戦と大活躍した駿台甲英は全部員が5名で、勝ち上がったとしても近畿選抜、全国選抜の出場権を得られないとして、団体戦にはエントリーしなかった。その結果第1シード園田、第2シード城西、第3に夙川、第4芦大附、第5仁川となった。そして予選を勝ち抜いてベスト8に残ったのは上記の上位シード校に加えて武庫川、雲雀丘、加古川南であり、いずれも8シードまでの学校が順調に勝ち上がったのであった。8校は10月末の総合運動公園に舞台を移す。総合運動公園における準々決勝は各試合とも第1~第3までの上位シード校が圧倒的な強さで征し準決勝に駒を進めたが、第4シードの 芦大附属と第5シードの仁川学院の対戦だけは例外であった。両校2ポイントを獲得し、迎えたシングルス3の勝負が大接戦となる。最後は仁川の上久保が8-6で芦大・藤猪をくだし初のベスト4に進んだ。ベスト4進出校による決勝リーグは園田が危なげなく3勝で貫禄優勝。そして2勝1敗の城西が準優勝に輝いたが、2位争いとなった夙川戦は大変見応えのある展開となった。スコアは3-2で城西の勝利であったが、山場では城西のエース堺が夙川・岡屋を破り勝負を決めた。1位、2位校は近畿選抜に出場し、近畿選抜では園田が3位、城西が7位の成績を残し春の全国選抜への切符を手にした。今から二校の活躍が非常に楽しみである。
最後に昨年はインターハイと国体が兵庫県で開催され、出場した選手だけでなく大会を運営する上で多くの高校生、多くの先生方が参加しました。苦い思いや不安もあり何とか乗り切った部分もいくつかありましたが、感動も多々ありで非常に充実した年でした。そして今年。前年の経験から生徒も先生も何となく余裕と自信を持って臨んでいるシーンが見られたように思います。先輩の姿を追ってそれを越えようとする高校生、それに応えて熱い思いで指導する顧問の先生方、何かしら一回り大きくなった兵庫県!そんな気がします。私は生徒に試合の結果の重みの話もしますが、テニスが強くなること以上に大切なことはテニス部活動を通じて多くのことを体験し、感じ、そして人間として成長することである、ということをよく話します。でも実は我々教師も生徒とともに成長していってるんでしょうね。知らないうちに....。これからもお互い頑張ってまいりましょう!スカイブルーにいつまでも、いつまでも感動したいですね。
全国総体では出場出来なかった井本 久美子・山本 愛組が、成年男子の劉 冠均・角田 博幸組とほぼ同時に優勝を決め、天皇杯・皇后杯ともに兵庫県が獲得して、「06総体THE 近畿」と「のじぎく兵庫国体」の2大イベントが無事に終了し、ほっとしたところですが、この1年を振り返ってみます。
九州博多で行われた全国選抜では園田学園が第1シードの仁愛女子を倒し、準々決勝で夙川学院に惜敗したが、1年生主体のチームであり、全国総体・来年度の全国選抜に期待を抱かせる結果であった。夙川学院は、準決勝で堀越に惜敗したが、兵庫インターハイに向けて2年生中心でチーム作りをしてきており、順調に仕上がってきているように思える。
春の兵庫県ジュニアテニス選手権大会では井本 久美子選手(芦屋大附)が1セットも落とさず、秋元 愛子選手(夙川学院)を下して優勝した。ダブルスでは、昨年度の千葉インターハイベスト8の小笹・寺井組(夙川学院)が井ノ元・日下部組(明石城西)を下して優勝した。明石城西はシングルスで花畑選手がベスト4に、松下選手・日下部選手がベスト8に入り、ダブルスでも松下・安田組がベスト4に入るなど、夙川・園田に迫る実力を見せつけ、地元開催の全国総体団体戦出場枠2校の争いに興味を抱かせる結果となった。16歳以下の部では古賀 愛選手が優勝し、中学生ながら、のじぎく兵庫国体の兵庫県代表選手の候補に挙げられた。ダブルスは、松島・広瀬組(園田学園)が山崎・良永組(園田学園)を下して優勝した。
「06総体THE近畿」の予選である兵庫県高校総体は、4人制審判やコートレフェリーの養成、進行・記録など本番の全国総体を想定しながら最後のリハーサル大会として大々的に行われた。団体戦は夙川・園田・明石城西・加古川南の4強が順調に勝ち上がり、準々決勝でそれぞれ、芦屋大附・兵庫・武庫川大附・雲雀丘を3-0で下して2校の全国総体出場枠をかけてのリーグ戦となった。明石城西は園田学園と大接戦となったが、ダブルスを7-9、シングルス1を6-8で競り負けて、団体での全国大会出場はならなかった。3年生で固めた夙川学院が2年生主体の園田学園を下して優勝し、園田学園とともに全国大会出場を決めた。
個人戦シングルスでは、第1シードの井本 久美子選手(芦屋大附)が準決勝で第2シードの秋元選手(夙川学院)を下して勝ち上がってきた松岡 春佳選手(夙川学院)をファイナルタイブレークにもつれ込む大接戦の末優勝した。ベスト4には秋元選手(夙川学院)・日下部選手(明石城西)が入り、全国大会出場枠をかけた順位戦では、内仲選手(園田学園)・松島選手(園田学園)の2名が勝ち残った。ダブルスは、第2シードの小笹・寺井組(夙川学院)がファイナルセットの末、第1シードの井ノ元・日下部組(明石城西)を下して優勝した。全国大会出場権をかけた3位決定戦では、安部・内仲組(園田学園)が、森・貝塚組(園田学園)を下して出場権を得た。
全国高校総体は、晴天に恵まれ、多くの観衆に見守られ、171名の役員と730名の補助員を動員して神戸総合運動公園としあわせの村の2会場で開催された。女子の試合は、すべて、神戸総合運動公園で行われ、団体戦では、園田学園は、1回戦札幌清田、2回戦共栄学園を下したが、3回戦で筑陽学園と対戦し、ダブルスの内仲・安部組は8-4で勝ったものの、シングルス1の松島選手が7-9、シングルス2の鍋谷選手が8-9(5)と競り負けた。夙川学院は接戦しながら2回戦静岡市立・3回戦徳島市立・準々決勝富士見ヶ丘を下して勝ち上がり、準決勝で宮崎商業と対戦した。ダブルスの小笹・寺井組は6―1、6-2と圧勝したが、シングルス1の松岡選手が2-6、7-5、2-6で競り負け、シングルス2の秋元選手も4-6、5-7で負けて、第3位という結果であった。
個人戦ではダブルスで、小笹・寺井組(夙川学院)が準決勝に勝ち進み、優勝した田島・田島組に4-6、4-6で競り負けたが、団体戦に続いて地元兵庫で表彰台に上がり、来年度のダブルス出場枠を獲得してくれた。また、内仲・安部組も第2シードの田中・沼山組を下して、ベスト8まで勝ち上がり、ナイターになる熱戦の中、6-8で優勝した田島・田島組に競り負けた。シングルスは、地元開催のプレッシャーか、全員が1・2回戦で敗退してしまったが、インターハイに出場出来なかった山本 愛選手(芦屋大附)とともにのじぎく兵庫国体に出場した井本 久美子選手は全勝で少年女子の兵庫県優勝に大きく貢献した。
3年生が抜けてはじめての大会である県民大会では、シングルスで鍋谷 昌栄選手(園田学園)が広瀬 杏菜選手(園田学園)を下して優勝した。第3シードの松島選手(園田学園)が3回戦で岩佐選手(県西宮)に破れるという波乱はあったものの、園田勢の層の厚さが目立った大会であった。ダブルスでは、安部・内仲組(園田学園)が鍋谷・松島組(園田学園)を下して優勝した。
春の全国選抜高校を目指す新人団体戦は、春の総体と同じ顔ぶれの4校で決勝リーグが争われたが、準々決勝には、明石商業・雲雀丘・武庫川大附・市伊丹の4校が勝ち上がった。決勝リーグでは、園田学園がすべて5-0で圧勝した。夙川学院は明石城西に3-2で競り勝ち近畿選抜出場権を得た。個人戦シングルスは松島 美智留選手(園田学園)が広瀬 杏菜選手(園田学園)を破って優勝した。ダブルスでは、広瀬・松島組(園田学園)が良永・宮下組(園田学園)にファイナルセットの末、競り勝って優勝した。近畿地区大会でも園田学園が準優勝、夙川学院が4位入賞を果たし、それぞれ来春の全国大会への切符を手にした。全国大会でも昨年同様テニス王国兵庫の力をフルに発揮してほしいものである。
25年も専門委員長をされた、矢野先生のあとを受け、短期間だけと思い、引き受けた専門委員長も、気がつけば、10年近くになり、思いもしなかった、63総体以来の全国総体を兵庫国体の年に引き受けることとなり、多くの先生方や、テニス部員諸君に支えられて、何とか無事に終えることができました。来年度からは、石森委員長の新体制のもと、兵庫県高体連テニス部のますますの発展を願って筆を置きます。長い間ありがとうございました。
平成17年度の幕開けは第27回全国選抜高校テニス大会であった。兵庫からは、昨年秋の近畿大会2位明石城西と、同3位の園田学園が出場した。両校とも1・2回戦は無難に勝ち上がったが、3回戦でシード校の柳川(福岡)・長尾谷(大阪)と対戦した。まず園田学園は近畿大会で長尾谷に敗れていたため雪辱戦であったが、3-0で惜しくも敗れた。明石城西は雨・風・雪による途中、中断にも負けず、シングルス1は落としたものの3―1で勝利したが、これは30名の部員全員による力が結集した勝利であった。翌日、筑陽学園(福岡)との準々決勝では3―2で惜しくも敗れはしたが、ダブルスにおいては本大会全勝で終わることができ、この場を借りて本校佐藤教諭に感謝したい。
次に行われた大きな大会は“千葉きらめき総体”への出場をかけた県総体である。まず団体戦であるが1シード明石城西、2シード園田学園、3シード夙川学院、4シード加古川南は順当にベスト4に駒を進め、ベスト8には武庫川大附、仁川学院、芦屋大附、雲雀丘学園が入った。準決勝は、明石城西が3―0で加古川南を下し、園田学園が夙川学院を2―1で下して、決勝は昨年の新人戦と同じ顔合わせとなった。3面同時にスタートした試合は、一番競るであろうと思われたダブルス中西・木下組対中村・日下部組の対戦が6-2,6-2という一方的なスコアで園田が勝利を収め、試合の流れは俄然園田に傾いた。一方シングルスは、1,2ともに明石城西がセカンドセットを取り返してファイナルにもつれ込んだ。だが、園田№1の石田、№2の鍋谷の勢いに対し、明石城西№1の松尾、№2の戸高は、ファイナ ルへ持ち込むのが精一杯で最早余力は残っておらず、園田学園が2年ぶり20回目の優勝を果たした。私自身、監督として初めて県総体の決勝に臨んだが、3セットを2試合行う団体戦での緊張感や体力的な面などまだまだ経験不足を痛感した一戦であった。続いて個人戦であるが本年度はシングルス5名、ダブルス3組のインターハイ出場権をかけての戦いであった。まずシングルスにおいては上島(県立国際)が優勝し、同じテニスクラブで練習する山本(芦大附)が準優勝、ベスト4には橋本(山手)、秋元(夙川)、が入り、5番目には松岡(夙川)が入った。ダブルスにおいては、石田・中西(園田)が優勝し、小笹・辰野(夙川)が準優勝、3位に松尾・戸高(明石城西)が入った。
さていよいよインターハイである。団体戦においては園田学園が3回戦で広陵(広島)に苦戦はしたもののシードを守って、順当にベスト8に勝ち上がり、第2シード長尾谷(大阪)と対戦した。春の選抜の借りを返すべく戦いを挑みシングルス№1の石田が勝利したが、惜しくも2―1で敗れた。個人戦においては上島(県立国際)がシングルスでベスト8に残り来年度のボーナスポイントを獲得してくれたことは賞賛に値する。他は山本(芦大附)がベスト16、橋本(山手)、秋元(夙川)、松岡(夙川)は1 回戦敗退に終わった。ダブルスは、石田・中西(園田)、小笹・辰野(夙川)の両ペアがベスト8、松尾・戸高(明石城西)がベスト16に終り、ボーナスポイントを獲得できなかったことが悔やまれる。余談になるが、私 はこのインターハイにおいて、団体の準決勝・決勝を観戦することができた。準決勝仁愛女子(福井)対堀越(東京)、決勝仁愛女子対共栄(東京)の対戦であったが、まさに死闘という言葉がピッタリの内容であった。特に座って見ているだけでも暑い中で、仁愛の選手の体力・精神力・技術、そして何よりも監督を信じる力、これらが一体となっての春夏連覇であったように思われる。来年の地元インターハイで、兵庫勢のこういったシーンをぜひ見てみたいと強く感じた試合だった。
次に3年生が引退し新チームの戦力を占う県民大会が赤穂海浜公園で行われた。個人戦のみの大会ではあるがこの結果によって新人戦のシードが決定するとともに、近畿大会への出場(シングルス20名・ダブルス10組)をかけた重要な大会である。しかし、第1シードの山本(芦大附)が棄権してしまったことは誠に残念であった。結果はシングルスにおいて小笹(夙川)が、第15シードながら4回戦で第2シード井本(芦大附)を破った勢いで勝ち進み、優勝を果たしたことはまさに「あっぱれ」であった。準優勝には1年生ながら思いっ切りのいいテニスをする喜多(園田)が入り、ベスト4には秋元(夙川)、内仲(園田)、ベスト8には辰野(夙川)、安部(園田)、松岡(夙川)、日下部(明石城西)が入った。ダブルスにおいては第5 シード井ノ元・日下部(明石城西)が決勝で第2 シード小笹・寺井(夙川)を下し、同校としては個 人戦において初の3大大会(総体・県民・新人)における優勝を果たした。ベスト4には内仲・喜多(園田)、池田・花畑(明石城西)、ベスト8には辰野・松岡(夙川)、林・井若(夙川)、森・貝塚(園田)、松下・安田(明石城西)が入った。
10月には春の全国選抜出場をかけた新人戦が神戸総合運動公園で行われた。本年度からスーパーシード制を取りやめ、ベスト8による本選、ベスト4によるリーグ戦によって、近畿大会出場の2校を選ぶというシステムに変更となった。まず本選出場の8校であるが、私はこの本選に残るということを最大の目標として、日々の練習に取り組んでいる学校がたくさんあることを知っている。ここ数年、近畿地区のみならず、四国地区、中国地区、九州地区、東海地区、北信越地区と、色々なところへ練習試合に行く機会を持たせていただいているが、私は敢えて断言したい。「全国に兵庫ほど熱い顧問の先生がたくさんいる県はない!」と・・・・。
さて、その本選には夙川、園田、明石城西、加古川南の上位シードに加えて、兵庫、仁川、星陵、武庫川大附が入った。なかでも公立高校で、高校から硬式テニスをはじめた選手を鍛え上げ、毎年のように本選に駒を進めている加古川南の登日先生、兵庫の五味先生の情熱には頭が下がる。私も負けないように頑張りたい。準々決勝は、夙川5―0仁川、園田5―0武庫川大附、明石城西5-0兵庫、加古川南5―0星陵というスコアでベスト4が出揃った。リーグ戦は、8ゲームによるものでやはり力を持っている選手が強く、勢いだけでは勝たせてもらえない。ここにワンセットマッチと8ゲームマッチの違いがあるように見受けられる。結果は夙川学院が3勝0敗で優勝し、園田学園が2勝1敗で2位、明石城西が1勝2敗で3位、加古川南が0勝3敗で4位となり、夙川、園田が近畿選抜への出場権を獲得した。両校は近畿選抜でもそれぞれ2位、4位と健闘し、見事全国選抜への切符を手にした。全国大会での両校の活躍を期待し たい。個人戦においてはシングルスで安部(園田)が優勝、2位に花畑(明石城西)、3位に喜多(園田)、坂本(園田)、ダブルスでは内仲・喜多(園田)が優勝、2位に鍋谷・安部(園田)、3位に森・貝塚(園田)、三谷・坂本(園田)という結果であった。これらの結果から来年は園田を中心とした構図になりそうな予感がしているのは私だけではないであろう。
以上、団体戦を中心に平成17年度を振り返ってみたが、来年はいよいよ兵庫インターハイ・兵庫国体の年である。何十年に一回のこの2大イベントの年に自分が顧問として関われるということは、この上ない幸せである。すでに様々な部署で準備も進んでおり、この原稿を執筆している今も多くの先生方が準備に追われている。この場を借りて私は選手諸君にエールを送りたい。審判をはじめたくさんの高校生ボランティアや、先生方の陰での支えがあっての大会であるということを忘れずに、常に感謝の気持ちをもって精進してほしい。この2 大イベントが大成功に終わることを、そして願わくは自校の選手がその舞台に立てることを祈念しつつ、平成17年度回顧録を終わらせていただく。
平成16年10月2日(土)、兵庫県高等学校対抗テニス新人大会女子団体戦準決勝、神戸総合運動公園15番コートを明石城西高校の門田監督が走りまわって大の字に寝ころび勝利の喜びを表現した。その姿は私には1995年ウィンブルドンでベスト8入りを決めた松岡修造にダブって見えた。それくらい私にとっては衝撃的な瞬間であった。
テニスのことは何も分からないまま20年前から兵庫県で女子テニス部顧問をしてきた私にとって明石城西が倒した相手の夙川学院は雲の上の存在で、県内では園田学園以外に負ける姿などは想像できなかったのである。現に私が顧問になってからは兵庫県高体連の女子団体戦決勝は私の記憶している限りそのすべてが夙川学院対園田学園というカードで、個人戦ですら夙川・園田以外の選手二名が決勝を戦ったのは昨年の新人戦の守内(須磨学園)対上島(県立国際)くらいのものである。兵庫県の高校女子テニスの歴史の中、新人戦の団体が園田・夙川両校のスーパーシード制で長年運営されてきたのも両校の継続的かつ圧倒的な強さがあってのことである。
ドラマはこれだけでは終わらなかった。翌日10月3日(日)第1シードの園田学園対明石城西の決勝はS1とD1を園田学園が先取、D2とS3を明石城西が取り返すといった両者譲らぬ展開。すべてがフルセットにもつれ込んだ13番コートS2の中西(園田)対松尾(城西)の試合にかかった。第3セットは中西から4-1アップでコートチェンジ、この試合を見ていたほとんどの人が園田の勝利を予想していたのではないかと思う。
ところが、ここから中西に異変が起きた。私の勝手な想像でしかないが足に来たと思われる中西のショットにミスが目立ち始め、松尾が追い上げていく。これを気力でカバーする中西は要所で気合のこもったストロークを放ち、ネットに出てプレッシャーをかけるなど試合巧者ぶりを発揮するもついに試合はファイナルセットタイブレークに入る。ここからの試合は両者まったく譲らず、まさに名勝負というにふさわしい試合となった。万全の状態とはいえないながら思い切りの良いショットをここという場面で打ち切る中西のメンタルタフネス、それにチャレンジャー精神で向かって行く松尾、声を枯らして応援を続ける両校の選手たちの姿。プロの試合でもなかなか見られない好ゲームに私は感動し固 唾を呑んで見つめていた。二回目のコートチェンジを終えたタイブレーク、松尾から7-6のスコアで中西の球がバックアウト、そのとき歴史が動いた。兵庫県女子テニス部の団体戦ではじめて公立高校の明石城西が優勝したのである。
明石城西の団体優勝のことばかりを書かせていただいたが、この1年全体を振り返ってみたいと思う。
まず総体であるが団体は夙川学院が県で優勝、近畿高校選抜でも第1シードの長尾谷を下して優勝、岡山県備前市で行われた全国総体では3位となった。個人戦シングルは県で久見(園田)が優勝、逆に近畿高校選抜では加藤(夙川)が優勝。久見、石田(園田)、加藤、上島(県立国際)、三杉(園田)、峯垣(園田)の6名が出場した全国では久見がベスト8、第2シードに2回戦であたった三杉を除いた残り4名が3回戦進出。個人戦ダブルスは県で加藤・小川(夙川)が優勝、近畿選抜でも加藤・小川が優勝、久見・須賀田(園田)準優勝、三杉・峯垣(園田)ベスト4。この3組で挑んだ全国では加藤・小川が準優勝、三杉・峯垣ベスト8、久見・須賀田ベスト16と今年も兵庫県のレベルの高さを見せ付ける形となった。
新人戦団体は新しい力が伸びてきて、兵庫県は戦国時代になったように感じた。優勝の明石城西のニュースの陰になってしまっているが、テニス部創部2年目にしてベスト4に入った加古川南高校はまさにあっぱれである。それ以外にも5ポイントの団体戦でシングル3本を1回も落とさずにベスト10入りし、武庫川大学附属に2-3と惜敗した宝塚西高校も注目株。両校とも3ポイントの春の総体でどこまで行くかが楽しみである。
逆に個人戦では夙川学院が団体戦の雪辱を晴らす形となった。シングルでは県民大会で準優勝をした井本(芦大附属)が第1シードだったが優勝は秋元(夙川)、準優勝が松岡(夙川)、ベスト4が花田(夙川)と寺井(夙川)でベスト4以上を夙川が独占する結果。また、ダブルスでも優勝は小笹・辰野(夙川)、準優勝は秋葉・藤沢(園田)、ベスト4が井ノ本・日下部(明石城西)、松岡・寺井(夙川)と夙川の1年生の層の厚さを感じさせられる大会となった。この1年生が次年度の総体までどこまで力をつけるか楽しみである。
最後に、この1年間回顧録を書くにあたってインターハイ5日間を含め出来る限り多くの試合を見てきた。その中で1番印象に残った試合を挙げるとしたら、県民大会本戦シングル5回戦北藤(夙川)対馬川(明石城西)である。この試合、第1セットは実力が上の北藤が簡単に6-1で勝利し、第2セットもリードしていた。しかし、北藤の足が痙攣を起こし第2セットは(5)6-7で馬川が取りファイナルセットに入る形となった。私が見ている限りこの時点で北藤は試合ができないと思えるくらい動けなかった。そして、第3セットは馬川が取るか、北藤が棄権するであろうと思いながら見ていた。ところが、そこから北藤の驚異的な粘りのテニスが始まる。1回1回のポイントのたびに屈伸をしたりしながらなんとか気力で試合を進めて行く北藤の精神力、そしてどんなときでもルールの時間の範囲内で構えようとするフェアプ レイに吸い寄せられるように私はその試合に見入ってしまった。最終的にファイナルセットは北藤が両足を痙攣しながらも7-5で勝利し準決勝に進んだ。その準決勝こそ井本(芦大附属)に第1セットを取られた後の第2セット1-2で棄権したが、絶対に最後まで試合を捨てなかった。コートの後ろにタオルを置いて1回1回顔を拭きに行ったり、思い通りのプレーが出来ないとラケットをわざと落としたりする高校生選手が増えてきた昨今、このような礼儀正しい高校生らしいファイトあふれるプレーを見て救われた。指導者として、また県の役員としてただ強いだけでなくこのような選手が一人でも多く育てられたらとつくづく教えられた気がした。