令和3年度 女子 回顧録 明石城西高等学校 上河 稔[回顧録-女子]
2022年05月06日
<はじめに>
2021年度も昨年度同様、新型コロナウイルスに振り回される1年であった。
4月25日~6月20日、8月20日~9月30日と長い期間、兵庫県に緊急事態宣言が発令され、部活動においては練習時間や日数の制限、練習試合や大会の制限、団体戦においてもメンバー以外のテニス部員が応援に行けない(無観客試合)など、「当たり前」の活動ができない1年であった。
唐突ですが、「当たり前」の対義語は何だと思いますか。「怪談説法」で話題の京都府・光照山蓮久寺の三木大雲住職によると、それは「有り難い」だそうだ。
三木住職は、仕事が上手く行かず生活が困難な時や、身体を壊してしまった時期を経て、水一滴の大切さ、健康であることの大切さに気付いたそうだ。
「当たり前」だと思っていることは「有ること難し」、つまり「有り難い」ことだと語られていた。
2年前までは、テニスの練習ができて当たり前、試合が開催されて当たり前、チームメイトや保護者がチームの応援ができて当たり前であった。
しかし、この厳しい情勢だからこそ、部活動に取り組んでいるみなさんには、練習ができることや試合に出場できることの「有り難さ」など、常に感謝の気持ちを忘れず、毎日の練習や生活をしてもらいたい。
では、本年度の大会を振り返ってみる。
<総体個人戦・団体戦>
団体戦においては、第1シードの相生学院が5年連続7度目の優勝を果たした。準優勝は第2シードの園田学園、ベスト4には雲雀丘と加古川南が入った。
特に今年度も相生学院の活躍が目立ち、初戦から決勝まで1本も落とすことなく、全試合ストレート勝ちで優勝を果たした。
個人戦においては、シングルスでは里菜央(相生学院)が1年生ながら見事優勝を果たした。ついこの前まで中学生だったとは思えないプレーで上位シードを圧倒した。
特に、ボールコントロールと安定性の高さは目を見張るものがあった。準優勝は石川こころ(相生学院)、第3位に西本稲音(相生学院)、中村藍(園田学園)が入った。
ダブルスでは優勝は武本・石川(相生学院)、準優勝は上林・西本(相生学院)、第3位に小畑・小野(相生学院)、吉田・竹本(園田学園)が入り、単複ともに、団体戦同様、相生学院の活躍が目立った。
<新人戦個人戦・団体戦>
個人戦は、毎日、雨、雨、雨と8月赤穂では珍しいくらい雨にたたられた。
西地区の顧問(ロービングアンパイア)の先生方をはじめ、引率顧問の先生方が率先して水取りなどのコート整備に協力して下さった。
そのおかげで、この大会を終えることができたことを本当に感謝している。
また、当初予定の3日間では全試合消化できず、4日目は会場を「青野運動公苑」に移し試合を行い、なんとかこの大会を終了することができた。
シングルスでは、総体同様、里菜央(相生学院)が優勝を果たした。
巧みなボールコントロールとチェンジオブペースで相手を圧倒し、本戦2回戦~準々決勝はすべて6-0、準決勝6-2、決勝6-3と危なげない試合運びであった。
1 年生ながら、もうすでに王者としての貫禄さえうかがえた。準優勝は永澤亜桜香(西宮甲英)、第3位に小畑コトリ(相生学院)、速水莉南(相生学院)が入った。
ダブルスでは、優勝は大山・永澤(西宮甲英)、準優勝は里・田島(相生学院)、第3位は吉田・竹本(園田)、門脇・小山(西宮甲英)と西宮甲英の活躍が目立った。
西の横綱相生学院、東の横綱西宮甲英という番付であり、一人横綱時代から、二人横綱の時代になったことを思わせる結果であった。
団体戦では相生学院が8年連続8度目の優勝を果たした。最終順位は、優勝:相生学院、準優勝:西宮甲英、第3位:園田、第4位:雲雀丘であった。
しかしながら、今年度の新人団体は、絶対的王者相生学院も簡単な大会ではなかった。
決勝リーグの園田戦では4勝1敗で勝利したものの、ダブルス1が 8-6、シングルス2が9-8(6)、シングルス3が6-8と名門園田に苦しんだ。
また、同じく決勝リーグの西宮甲英戦では結果は3勝2敗で勝利したものの、出場7名中6名が1年生である西宮甲英にここ数年ではないくらい苦しめられる試合となった。
スコアは、シングルス1が8-2、ダブルス1が8-5、シングルス2が4-8、ダブルス2が8-2、シングルス3が5-8であった。
一テニスファンからすると、来年度の新人団体がどうなるのか今から楽しみである。
<公立大会>
昨年度、県公立大会が行われ県代表4校(葺合、明石城西、加古川北、加古川南)が決定されたにもかかわらず、「近畿公立大会」に兵庫県チームが出場することができなかった。
新型コロナウイルスの拡大において、教育委員会が県外での練習試合等を禁止したためであった。
今年度の大会は、昨年度出場権を奪われた先輩たちの無念を胸に後輩たちが挑むという、今までにはない何とも言えない大会であったように思う。
昨年度、幻の近畿公立を決めた4校のうち、加古川北と明石城西が今年度の近畿の切符を勝ち取った。また、宝塚西が第3代表として近畿出場を果たした。
1月5日6日にメンバーのみ会場への入場が許可されるという制限の中で「近畿公立大会」は行われた。
結果は加古川北がベスト4、明石城西がベスト8という結果であった。
この大会後すぐの1月中旬には、全国的に再び新型コロナウイルスの感染者が激増し、1月27日~3月6日と長い期間「まん延防止等重点措置」が兵庫県全域に発令され、練習試合等が禁止となった。なんとか滑り込みセーフで近畿公立大会が行われたこと、出場できた選手たちが一生の思い出を築くことができたことを本当にうれしく思う。
<おわりに>
長年、県高体連役員として高体連の運営と高校テニス界の発展に尽力してくださった、北摂三田高校の高塚一郎先生(副委員長)、伊丹北高校の松井千寿子先生(理事)が本年度をもって役員を退かれます。
また、県高体連委員長を務めてきた加古川北高校の門田聖五先生は、全国常任委員(近畿地区委員長)となり別の立場から県高体連を支えていただくこととなりました。長年本当にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
最後になりますが、部活動は一生の思い出を築くことができるとともに、生徒たちの人間形成の場になると私は強く信じている。
そのような役割を持つ部活動が、来年度こそ「当たり前」に活動できることを切に願う。早く数年前のように高校生のみなさんがチームメイトや保護者の応援のもと、元気にプレーしている姿を見られることを祈念して、この回顧録を終わりとする。
令和3年度 男子回顧録 神戸村野工業高等学校 清村晃平[回顧録-男子]
2022年05月06日
<はじめに>
令和 3 年度は昨年に続き、新型コロナウイルス感染症との 闘いの年であった。緊急事態宣言・まん延防止等重点措置延長 など 、教育現場もあわただしい年ではあったが、 ICT 教育の活用や様々な取り組みを実施することで 、生徒の学習意欲向上や情報活用能力を伸長する機会を与えることが出来たのではないだろうか。
部活動においても活動時間の制限などもあり満足のいく指導とはならなかったが、 感染症対策における 大会関係者・ 生徒・保護者の 方々 の ご理解とご協力もあり、無事に大会が開催されたことはうれしく思う。
では、本年度の大会を振り返ってみる。
<県総体団体戦・個人戦>
団体戦ベスト
8 には第 1 ~6シードの相生学院、甲南、神戸野田、西宮甲英、啓明、北摂三田に加え、第8シードの三田と第7シードの赤穂を破り、第10シードの関学が進出した。
ベスト4は上位シード4校が進出し、決勝は相生学院と甲南の対戦となった。結果は、相生学院が2-0で圧倒し優勝した。
シングルスにおいては栗山、大矢、谷畑、坂本、南の相生学院 5名と服部、大桐の西宮甲英2名と関学の古西が進出。
ベスト4では栗原、大矢、南の相生学院と西宮甲英の大桐が進出。決勝進出をかけた大桐と南の対戦は南が 勝利 し、決勝は相生学院の栗原と南の対戦となり、結果は、準決勝同様南が 2-0 で勝利し優勝となった。ダブルスにおいてもベスト8進出は、相生学院 5組と甲南3組でベスト4をかけた対戦で甲南は破れてしまった。
決勝進出はシングルス優勝と準優勝した南・栗山組と大矢・福田組の対戦となり、結果は2-0で南・栗山組の優勝で幕を閉じた。
<県新人戦団体戦・個人戦>
団体戦準々決 勝進出は相生学院、神戸野田、関学、甲南、三田、明石城西、市立西宮、灘という結果になり、決勝リーグ進出は上位シード4校の相生学院、神戸野田、関学、甲南となった。
やはり相生学院は昨年同様全勝で優勝し13連覇を果たした。昨年接戦の末、神戸野田を破った甲南と神戸野田 の対戦となり、シングルスで神戸野田が2勝、ダブルスでは甲南が2勝となり今大会でも勝負がシングルス3に委ねられた。
互いに譲らず、マッチポイントを迎えた大谷(神戸野田)であったが、奥平(甲南)が粘り、接戦の末、大谷が粘り勝ち神戸野田が2位を勝ち取り昨年の雪 辱を果たした。
シングルスでは相生学院の高畑、唐津、三城、山本、谷畑、坂本の6名、関学の古西、神戸野田の髙橋がベスト8に進出。
ベスト4には相生学院が独占し、決勝は山本 と 三 城の対戦となり、結果は6-2で山本が優勝した。
ダブルスにおいては、相生学院の高畑・唐津組、山本・坂本組、宮﨑・島村組、富田・林組、石川・小野クリストファー組、瀬戸・谷畑組の6組、クラーク芦屋の長島・長島組と神戸野田の髙橋・久田組がベスト8に進出。
クラーク芦屋の長島・長島組が 準々決勝で 神戸野田 を準決勝で 相生学院を破り決勝進出を果たした。 決勝は相生学院の高畑・唐津組と石川・小野クリストファー組が対戦し6-2で高畑・唐津組が優勝した。
<おわりに>
今年度も感染対策や感染防止のため、大会開催にあたり観戦者の制限や、様々な制限の中での開催ではあったが、選手たちは 本当に 力を出し切ってくれた。現在も 未だ 新型コロナウイルスが収まる気配はないが、 次年度においても、 一つでも多く大会が開催できるように、そして 今後の 選手たちの更なる成長に期待する。
今後の兵庫テニスの更なる発展を期待して、回顧録を締めさせていただく。
令和2年度女子回顧録 伊丹西高等学校 菅原 潤哉[回顧録-女子]
2022年01月26日
2020年度は兵庫県の高校生のテニス界も新型コロナウイルスに振り回された1年であった。3月に学校活動が停止され、予定されていたジュニア大会や市内大会が中止となった。4月には緊急事態宣言が発令され、3年生の引退試合となる高校総体も団体戦、個人戦ともに中止となった。6月に学校活動が再開された後、県内各地区で代替大会が行われたが、やはり3年生部員としては不完全燃焼の引退であったことは否めない。また、滋賀県で開催予定であったインターハイも中止となった。昨年度よりインターハイ支援を兵庫県高体連テニス部としてもTシャツの購入などで行い、私自身は滋賀県まで実際に運営補助に行く予定であったため、これも残念でたまらなかった。
7月以降、少しずつ大会の開催が認められ、8月上旬には新人戦個人戦予選が各校テニスコートで開催された。しかし、予選会場での選手の行動はこれまでとは一変した。検温表の提出、無観客、セルフジャッジ、試合中以外のマスクの着用、こまめなアルコール消毒、試合後の握手なし・・・。予選会場の運営にあたられた先生方の気苦労には頭が下がる思いであった。この新しい光景は、8月19日から赤穂海浜公園テニスコートで開催された新人戦個人戦本戦でも同様であった。例年と変わらないのは気温だけで、選手と顧問のみが会場への立ち入りが許され、マスクを着用して試合を見学する姿、審判や応援の声がない静かな会場は、余計に暑さを際立たせた。そのような異例の光景の中でも相変わらずの強さを発揮したのは相生学院であったが、園田学園や雲雀丘学園の選手の健闘も光った。シングルスのベスト8のうち6人を相生学院の選手が占め、優勝は相生学院の武本選手、準優勝も相生学院の石川選手であった。ダブルスのベスト4はすべて相生学院のペアが占め、武本選手・石川選手のペアが優勝した。
10月初旬に各校で開催された新人戦団体戦も、間隔を空けての集合、試合前の円陣の禁止、声を出しての応援の禁止等、これまでとは違う寂しさを感じる試合となった。8校の本戦出場校のうち、加古川北、葺合、加古川南、明石城西と公立高校が4校を占めたのは、公立高校の顧問としてはうれしい限りであった。決勝リーグ戦では相生学院が危なげなく優勝を飾ったが、雲雀丘学園、園田学園、加古川南の3校の対戦はいずれも3-2で勝敗がつく熱戦であり、園田学園が準優勝となった。11月に開催された近畿大会でも相生学院は優勝し、園田学園は8位となった。
11月下旬には兵庫県公立団体戦も実施され、女子も4校の代表校が決定した。ようやくテニスの大会も例年に戻ったと感じたが、12月後半になると新型コロナウイルスの感染が再び拡大した。なんとか兵庫県内の公立個人戦を開催し、その代表を決めた頃、教育委員会からの指示で県外での大会が禁止され、団体戦で代表となっていた4校は近畿大会に参加することが出来なくなった。必死で手に入れた近畿大会への出場権を奪われた選手たちの無念さはいかほどだっただろうか。
また、この原稿を書き始めていた12月上旬、長年にわたり兵庫県高体連テニス部の活動にご尽力くださった安達泰二先生が突然ご逝去なされた。約20年前、非常勤講師であった私をテニスコートに招いてくださり、私がテニス部と関わるきっかけを作ってくださった。ご多忙の中、毎日テニスコートに足を運び、優しくも真摯に選手に向き合う姿は、その後のテニス部顧問としての私に大きな影響を与えてくれた。テニス部顧問としての第一線を退かれた後も本戦会場に足を運んでくださり、いつも優しい声をかけてくださったことが忘れられない。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
12月も半ばを過ぎると本格的な冬が訪れ、伊丹西高校のテニスコートの朝の気温は0℃に近い。(ちなみに、今年の夏の最高気温は日陰で42℃であった。)鈍色の空の下、生徒たちと朝練を行い、冷たい手をこすりながら毎日考えている。この頑張っている生徒たちが、このままテニスを続け、諸大会に出場し、総体団体戦、個人戦で完全燃焼して引退してくれることを。当たり前だった風景が当たり前でなくなった今、切にそのことを願っている。それはどの学校の顧問の先生方もきっと同じであろう。
1月14日に再び兵庫県に緊急事態宣言が発令された。1月に予定していた阪神の諸大会も延期を余儀なくされ、テニス部の活動にも様々な制約が課された。いつまで続くか分からないコロナ禍の中、練習試合さえ許されない選手たちのモチベーションを保つのは容易ではないが、何とか工夫を凝らして練習を続けているのはテニス部に限らず、どの部活動もそうであろう。閉塞感の漂うこの冬を乗り切り、自由な活動が許された際には、思う存分練習と試合を行い、仲間と笑顔で引退を惜しむ、暖かで開放的な春を待ちわびている。
令和2年度男子回顧録 北須磨高等学校 横田泰和[回顧録-男子]
2022年01月26日
令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大で始まりました。3月の春季ジュニアの開催を断念し、県高校総体は何とかできないものかと準備していました。しかし、4月7日に緊急事態宣言が発令され、5月末まで学校の臨時休校が決定しました。その結果、県高校総体は中止となり、上位大会もなくなってしまいました。特に3年生は最後の大会だっただけにかわいそうでした。学校では、生徒たちがリモート授業や学校からの課題に取り組むなど自宅学習を余儀なくされました。「ステイホーム」で、外に出ることもできず、辛い期間だったと思います。6月1日になると学校が再開しました。最初は1日おきの登校や時差登校で、通常とは程遠い状況でした。部活動も、日数や時間を大きく制限され、体を少し動かすという程度でした。それでも、感染症対策を徹底し、少しずつ部活動としてできる範囲が広がってきました。7月下旬には、3年生のための「県総体の代替試合」を各地区ごとに工夫し実施しました。十分な大会とは言えなかったかもしれませんが、参加した3年生にとっては、一つの区切りになったのではないでしょうか。
8月に入ると、新人大会個人戦の予選です。各校のテニスコートで、無観客試合という形にはなりましたが、実施することができました。久々の公式戦なので、主催する私たち高体連の役員も、いつも以上に緊張感がありました。慎重に慎重を重ね、無事予選を終えた時には少しホッとしたのを思い出します。しかし、それも束の間。舞台を赤穂海浜公園テニスコートに移し、本戦が行われました。保護者の皆さんにとっては久々の子供さんの試合で、そばで応援したいというお気持ちはあったと思います。しかし、この大会を新型コロナウイルスの感染者を出すことなく無事、最後まで成立させなければということで、無観客試合とさせて頂きました。実際、大会直前に甲南中・高の部内で感染者が出て、甲南高校は本戦に出る予定の選手が全員出場辞退という決断をされました。そのような、いつもと違う雰囲気の中で、新人大会本戦が始まりました。結果は、1年生の原崎朝陽選手(神村学園神戸)がテンポの速いテニスと多彩なショットで他の選手を圧倒し優勝。原崎選手は、その勢いのまま、近畿大会でもほとんどゲームを落とすことなく優勝しました。続く夏季ジュニアでも実力を発揮し、原崎選手は優勝しました。
10月の兵庫県学校対抗新人大会の男子では、やはり相生学院が実力を見せつけ、一本も落とすことなく、完全優勝で12連覇を果たし、全国選抜の近畿地区予選の切符を手にしました。残るもう1枠の争いは熾烈でした。最近力をつけてきている第2シードの神戸野田高校と新人大会個人戦の出場を見合わせ第3シードに甘んじた甲南高校との対戦です。神戸野田高校は、1年生のシングルス1久田選手とシングルス2髙橋選手が頑張り、シングルス2本を取りました。しかし、甲南高校も意地を見せ、ダブルス2本を取り返し、勝負がシングルス3にかかりました。最終的には、個人戦の悔しさを団体戦で晴らす形で甲南高校が全国選抜の近畿地区予選残り1枠の切符を手にしました。1年生主体の神戸野田高校は、来年に向けての大きな一歩となり、これからの活躍に目が離せません。さらに、全国選抜を賭けた近畿地区大会ですが、やはり相生学院が危なげなく優勝し、県大会同様近畿大会でも12連覇を達成しました。甲南高校も5位に入り、全国選抜での両校の活躍に期待が高まります。
また、県の公立大会(団体戦)に目を転じると、男子ではノーシードの神戸高校が第1シードの赤穂高校を破り、その勢いのまま決勝まで勝ち進みました。決勝では、神戸高校がシングルス1,ダブルス1を取るものの、残りの3本を落とし、明石城西高校に逆転負けをしました。しかし、両校とも近畿公立大会への出場権は獲得しました。第3代表決定戦では加古川北高校を制した宝塚西高校が近畿公立大会の出場を決めました。が、ここでまた、新型コロナウイルスの感染が拡大してきました。兵庫県は出場を見合わせる決断をし、1月初旬には兵庫県以外が出場し、近畿公立大会を実施することとなりました。明石城西、神戸、宝塚西の3校は、出場権は得たものの、参加出来ず悔しい思いをしたことと思います。県の公立大会(個人戦)では、優勝した中野選手(赤穂高校)を含め10名の選手が近畿公立大会に駒を進めましたが、こちらも近畿公立大会自体が中止となってしまいました。
今、新型コロナウイルスのワクチンの接種が医療従事者から始まっています。それが、みんなに行き渡り、一刻も早くコロナ禍が収まって欲しいと思います。来年度は、高校生諸君が思いっきりテニスをプレイし、チームメイトや保護者の皆さんが気兼ねなく思いっきり応援しているいつもの光景をぜひとも見たいです。
平成30年度女子回顧録 須磨友が丘高等学校 教諭 三浦 裕子[回顧録-女子]
2019年03月25日
2018年度は近畿高等学校選抜テニス大会団体戦における相生学院の男女ペア優勝から始まり、兵庫勢の躍進はとどまることを知りませんでした。第75回全国高等学校対抗テニス大会および第108回全国高等学校テニス選手権大会(東海インターハイ・テニス競技/8月2~4日団体戦、5~8日個人戦/霞ヶ浦テニスコート、四日市ドーム、三滝テニスコート)では、女子決勝で相生学院(兵庫)が仁愛女子(福井)を2勝0敗で破り3年ぶり2度目の日本一に耀きました。同校は昨年度の男子団体戦における春夏連覇に続き、女子による春夏連覇という快挙を成し遂げました。また、第41回 全国選抜高校テニス大会 近畿地区大会(11月17~18日/奈良県高市郡・奈良県立橿原公苑明日香庭球場/砂入り人工芝コート)において男女ともに優勝を果たしました。
県内においては平成30年度兵庫県高等学校春季テニス大会の男子団体で相生学院高校、甲南高校、西宮甲英高等学院、神大中等学校がベスト4に勝ち進み、準々決勝戦では関西学院高校のほか、県立須磨東高校、市立西宮高校、県立三木高校など公立高校3校が進出しました。女子団体では相生学院高校、芦屋学園高校、啓明学院高校、園田学園高校がベスト4に進出しました。準々決勝戦には武庫川大付属高校のほか、県立加古川北高校、県立明石城西高校、県立加古川南高校の公立高校3校が進出しました。
また、平成30年度兵庫県高等学校対抗テニス新人大会において、男子団体ベスト4に相生学院高校、甲南高校、関西学院高校、須磨学園高校が進出し、ベスト8に県立三木高校、県立須磨東高校、神戸野田高校、灘高校が進出しました。女子団体ベスト4に相生学院高校、啓明学院高校、県立加古川北高校、市立葺合高校の4校が進出し、ベスト8に園田学園高校、芦屋学園高校、県立加古川南高校、県立伊丹北高校の4校が進出しました。そして、前述の通り全国選抜高校テニス大会近畿地区大会(滋賀県長浜市・長浜バイオ大学ドーム/6月15~17日/砂入り人工芝コート)で相生学院高校が男女ともに優勝、男子団体では甲南高校が3位、女子団体では啓明学院高校が8位入賞を果たしました。これらの輝かしい功績は、日々の教育活動を通じて選手たちにあきらめない心と粘り強く戦い抜く力を育んでこられた先生方のご尽力の結果です。
さて、2018年度には兵庫を揺るがした出来事が二つありました。一つ目は大きな災害に幾度も見舞われたことです。西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された台風7号および梅雨前線の影響による集中豪雨は、気象庁により平成30年度7月豪雨と命名されました。兵庫県下の高等学校でも体育館の屋根が吹き飛んだり、校舎の至る所が水浸しになったりと授業に大きな支障が出ました。また、グラウンドやコートのあらゆる部分が損壊し、復旧に大変な時間がかかるなど部活動にも影響が出ました。さらに10月には台風25号が近畿地方に接近し、新人団体戦予選に向けて準備していた試合会場の多くが順延を余儀なくされました。稀に見る被害をもたらした災害でしたが、生徒たちは力を合わせて学校の復旧に努めたり、助けが必要な近隣の被災現場へボランティアに出向いたりと、部活動を含むこれまでの教育活動を通して身に付けた力を多様な場面で発揮したとともに、日頃からの備えや命の大切さ、人と協働することの大切さに改めて向き合うきっかけを得ることができました。
二つ目は、国の部活動改革が大きく進められたことです。2016年にブラック部活という言葉が拡散し始めてから約2年が経過しますが、この問題に対する世間の関心は依然高いままです。2018年3月にスポーツ庁から「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(以下、ガイドライン)が発表されたことを受け、兵庫県では望ましい運動部活動の在り方に関する方針を示す「いきいき運動部活動」が改訂されました。ガイドラインにおいては、週当たりの活動時間が16 時間を超えないことや、週に2日以上の休養日を設定すること、生徒の強制参加を抑制することが明記され、世間の注目を集めました。この他、望ましい指導として競技種目の特性等を踏まえた科学的トレーニングの積極的な導入や適切な休養、さらには短時間の練習における効果が求められるとともに、 ①説明(言葉で教示) ②手本(動きを観察させてイメージ化) ③試行(繰り返して練習) ④評価(「もう少しこうすればさらに良くなる」(肯定的評価))を通して生徒の自主性・個性を尊重しながら、対話を重視した指導を行うことが奨励されています。一方、問題がある指導として「『負けたのは気合いが足りないからだ』と、高温多湿の体育館で、試合後すぐ、水を飲ませずコートの周りを50 周ランニングさせる」といった具体的なケースなども記されています。大部分の学校については、生徒の望ましい成長を促す教育的配慮がなされた部活動指導が行われており、この改革による大きな影響はなかったかもしれません。それでも、改めて部活動がどうあるべきかを問い直すという点において大きな出来事であったように思います。
社会が急激に変化する中で、学校現場はこれまで当たり前だと捉えてきたものを改めて見直し、時代に合わせた新しい形を模索しているところです。私たち教員の使命は、古くから大切にされてきたことを次世代につなぎつつ、現在には現在の、そして未来には未来の、教育のあるべき姿を実現していくことだと考えます。私たちの多くが確信しているように、教育において部活動が担う役割は一言では表せないほど大きく貴重です。生徒の心と体の成長を支えるという本質的な部活動の意義を大切にしながら、生徒一人ひとりの人生におけるキャリア実現に大きな力を与える部活動の在り方について今後も考えていきたいと思います。
平成30年度男子回顧録 小野高等学校 後藤文男[回顧録-男子]
2019年03月19日
(はじめに)
今年は世界を驚かせた大坂なおみ選手の全米オープン優勝は外すことのできないビッグニュースであった。その陰に隠れてしまったものの錦織圭選手の復活も外せない。錦織選手の活躍に影響を受け、育ってきた多くのジュニアたち。この度の大坂選手の優勝によって多くの選手にとって、夢が目標となった瞬間だと思う。平成においても世界で活躍する兵庫ゆかりの選手たちがいた。新時代においても兵庫ゆかりの選手が活躍することを期待し、今年度の総体・新人戦を振り返りたいと思う。
〈 県総体団体戦・個人戦 〉
県総体団体戦、ベスト8には第1~5シードの相生学院、甲南、須磨東、西宮甲英、関学に加え、上位シードを破って三木、市西宮、神大中等が進出した。ベスト4には上位シード校に加え第3シードの須磨東との対戦を制した神大中等が進出した。決勝は上位2校の相生学院と甲南の対戦となった。結果は2-0で相生学院が勝利し、連覇を果たした。
県総体個人戦シングルスにおいては、ベスト8を阿多、清原、高畑、仲里、中村、丸山、久保、東と相生学院が独占した。準決勝は阿多と高畑、丸山と東の先輩・後輩対決となり、接戦を制した東と高畑が決勝に進出し、東が優勝した。
ダブルスにおいても相生学院の猛攻は止まらず、ベスト4は、相生学院の阿多・丸山組、三井・佐々木組、藤本・清原組、高畑・中村組が独占した。決勝戦には阿多・丸山組と高畑・中村組が進出し、シングルスと同様に同門対決となった。結果は阿多・丸山組がタイブレークとなった最終セットを7-6(5)で取りセットカウント2-1の接戦を制した。
続いて行われた三重インターハイの団体戦において、相生学院は準々決勝で早稲田実業に苦杯を喫し、ベスト8敗退となった。また、個人戦では、シングルスで丸山が準優勝、阿多、高畑もベスト8に進出。ダブルスでは高畑・中村組がベスト4、阿多・丸山組、藤本・清原組がベスト8に進出するなどの活躍をした。
〈 県新人個人戦・団体戦 〉
赤穂海浜公園で行う県新人個人戦は今年も暑かった。その中でシングルスにおいて、ベスト8には東、金田、中村、高畑、清原の5名の相生学院と、西宮甲英の吉野、北、山中の3名との戦いとなった。結果、ベスト4を相生学院が堅守し、東・中村・高畑・清原が駒を進めた。続く準決勝戦では、東・高畑が勝利し、決勝では東が8-5で高畑を下し、優勝を手にした。ダブルスにおいては、ベスト4に相生学院の高畑・中村組、金成・東組、堺・清原組の3組と、西宮甲英の山中・吉野組が勝ち上がった。準決勝では、金成・東組が高畑・中村組との熱戦を8-6で制し、決勝に駒を進めた。もう一方の準決勝は堺・清原組が勝利し、決勝に進出した。準決勝まで相生学院の選手とのタイブレークの接戦を何度も制してきた山中・吉野組であったが、残念な途中棄権となった。決勝戦も接戦となったが、8-6で金成・東組が優勝した。東選手は単複の2冠となった。連日の猛暑の中、奮闘した選手・応援の全ての生徒の健闘を讃えたい。
団体戦は、ベスト8には相生学院・甲南・須磨学園・関学・三木・須磨東・神戸野田・灘の第1~8シード校が順当に勝ち上がった。ベスト4には相生学院・甲南・須磨学園・関学が進出し、4校によるリーグ戦の結果、相生学院が全勝で優勝。甲南が2勝1敗で準優勝、関学が1勝2敗で3位、須磨学園が0勝3敗で4位となった。相生学院は決勝リーグでも1本も落とさず、貫禄のストレート勝ちし、その実力を示した。
近畿大会においても相生学院は貫禄の優勝・甲南高校も3位に入り、全国選抜での活躍が期待される。
(おわりに)
今年度より総体の団体戦ではベスト16から本戦進出となった。幸いなことに本校もその恩恵を受け、進出することができた。早々に敗退となったものの緊張感の漂う本戦で戦い、引退する3年生の晴れ晴れとした姿が印象的であった。裾野が広がったことで、多くの学校の目標となり、予選がさらに熱くなる予感がした。
また、今年も多くの選手が大会に出場し試合を行った。初心者からトップジュニアまで幅広し選手が同じトーナメントを戦い、予選会場から本戦会場まで選手も教師も共に、コートの準備や運営、審判などに一生懸命だった。全員が主役である。これはテニス兵庫の宝であるとともに、今後もこうあり続けたいと改めて感じた。今後の兵庫テニスのさらなる発展を期待して、回顧録を締めさせていただく。
平成28年度女子回顧録 兵庫県立豊岡高等学校 山村 雄太[回顧録-女子]
2017年04月17日
〈はじめに〉
昨年度,女子選手で最も注目すべきはWTA最優秀新人賞に選らばれた大坂なおみ選手だろう。日本人勢で初の快挙である。大坂選手は女子選手でありながら,男子選手顔負けのサービスを武器に世界で戦っている。テニス王国「兵庫県」の高校生諸君が世界で活躍できることを祈って、昨年度の総体と新人戦の結果と概況を振り返りたいと思う。
〈兵庫県高等学校総合体育大会〉
(団体戦)参加校は91チーム
ベスト8には相生学院、啓明、西宮甲英、雲雀丘、芦屋学園、夙川、加古川北、園田が入った。準々決勝では、相生学院3-0啓明、西宮甲英2-1雲雀丘、芦屋学園2-1夙川、加古川北0-3園田という結果で相生学院、西宮甲英、芦屋学園、園田が準決勝に駒を進めた。 準決勝では、相生学院2-1西宮甲英、芦屋学園2-0園田という結果となり、相生学院と芦屋学園が決勝へ勝ち上がった。 決勝ダブルスでは、相生学院の相川・宮田が6-2、6-3で2セット連取し芦屋学園の木嶋・宮崎に勝利、シングルス1では芦屋学園の末野が6-4、6-1で相生学院の堺を破った。シングルス2では芦屋学園の浦上が4-6、7-6(5)、6-3の接戦の末、相生学院の中島に勝利した。結果、芦屋学園2-1相生学院となり、芦屋学園が優勝を勝ち取った。
(個人)
シングルスではベスト8に相生学院4名、芦屋学園2名、雲雀丘1名、親和女子1名が入った。さらに伊藤(雲雀丘)、田中(相生学院)、一瀬(親和女子)、末野(芦屋学園)がベスト4に進んだ。準決勝では、伊藤(雲雀丘)1-6、6(3)―7田中(相生学院)、一瀬(親和女子)3-6、0-6末野(芦屋学園)という結果で田中、末野が決勝へ勝ち上がった。決勝では6-1、6-3で末野(芦屋学園)が田中(相生学院)を破りインターハイへの切符を手に入れた。 ダブルスではベスト8に相生学院4組、園田2組、芦屋学園1組、西宮甲英1組が入った。さらに田崎・堺(相生学院)、人見・田中(相生学院)、相川・宮田(相生学院)、浦上・末野(芦屋学園)がベスト4に進んだ。準決勝では、田崎・堺(相生学院)6-1、2-6、6-3人見・田中(相生学院)、相川・宮田(相生学院)6-4、3-6、2-6浦上・末野(芦屋学園)という結果で田崎・堺、浦上・末野が決勝へ勝ち上がった。決勝では6-3、6-2で浦上・末野(芦屋学園)が田崎・堺(相生学院)を破りインターハイへの切符を手に入れた。
インターハイではシングルスで末野がベスト4、さらにダブルスで浦上・末野がベスト4進出と健闘し、兵庫の強さを全国に示した。
〈兵庫県高等学校テニス新人大会〉
(団体)参加校は82チームで総体より9チーム減。
ベスト8には芦屋学園、武庫川大附、加古川北、啓明、園田、雲雀丘、加古川南、相生学院が入った。準々決勝では芦屋学園4-1武庫川大附、加古川北1-4啓明、園田4-1雲雀丘、加古川南0-5相生学院という結果で、芦屋学園、啓明、園田、相生学院がベスト4に進出した。以上4校による8ゲームプロセット5ポイントのリーグ戦を行い、1位:相生学院(3勝0敗)、2位:啓明(1勝2敗)、3位:園田(1勝2敗)、4位:芦屋学園(1勝2敗)という結果になり、相生学院がその実力を発揮し圧勝した。
(個人)
シングルスではベスト8には相生学院5名、西宮甲英1名、園田1名、親和女子1名が入った。さらに久田(相生学院)、伊藤(相生学院)、一瀬(親和女子)、守口(西宮甲英)がベスト4に進んだ。準決勝では、久田(相生学院)2-8伊藤(相生学院)、一瀬(親和女子)8-1守口(西宮甲英)という結果で伊藤、、一瀬が決勝へ勝ち進んだ。決勝戦は両者とも実力を発揮しての攻防が続いたが、結果8-5で伊藤は一瀬に勝利し、優勝を勝ち取った。
ダブルスにおいても相生学院4組、西宮甲英1組、芦屋学園1組、園田1組がベスト8に入った。ベスト4には末野・木嶋(芦屋学園)、人見・田中(相生学院)、伊藤・中島(相生学院)、古賀・久田(相生学院)が進んだ。準決勝では末野・木嶋(芦屋学園)が途中棄権となり涙を飲む結果となり人見・田中(相生学院)が、伊藤・中島(相生学院)8-3古賀・久田(相生学院)で伊藤・中島が決勝への切符を勝ち取り、決勝は同校同士の戦いとなった。決勝の結果は伊藤・中島(相生学院)が人見・田中(相生学院)を圧倒し、8-2で優勝をもぎ取った。伊藤の3冠はもちろんのこと、全ての選手の健闘に賞賛を送りたい。
〈おわりに〉
今年度、但馬支部長に就任させて頂いた。まだ1年という短い期間ではあるが主に但馬支部での現状等、気づいたことをここに述べたい。
兵庫県がテニス大国と呼ばれることは間違いないが、正直なところ但馬支部には(特に選手においては)その意識は希薄である。さらに,少子化の影響を大きく受け、年々エントリー数も減少しており、部活動の維持すらままならない状況がでてきている。その反面、錦織圭選手や大坂なおみ選手などの活躍に依ってか但馬支部の生徒にもテニスに対する意識も向上してきており、選手も以前に比べ本戦出場への闘志を燃やしているようにも感じる。今後さらに但馬支部の活動を盛り上げるため、選手及び指導者一丸となって力を入れていく所存である。
トップ選手は技術だけでなく、人間性もトップレベルである。一生懸命テニスに打ちこんでいる兵庫県の高校生も、トップ選手のように技術だけでなく、人間的、精神的成長を果たしてくれることを期待して平成28年度の回顧録を締めさせて頂く。
平成28年度男子回顧録 関西学院高等部 原田 匠[回顧録-男子]
2017年04月17日
〈 はじめに 〉
一本のサーブが試合の勝敗を分けることは多々あると思います。「あそこでサーブが入れば・・・」、「あそこでダブルフォルトさえしなければ・・・」などなど。たった1球のサーブに泣いたり笑ったり。これは県予選1回戦からインターハイ決勝まで、皆が一度は経験することでしょう。 しかしながら、皆を悩ませるこの「サーブ」とは、「servant=召使い、奴隷」と同語源であることを知っている高校生は、果たしてどれほどいるのでしょうか。 テニスは古来、召使いが投げ入れたボールをラリーする遊戯でした。最初の1球は他人から「service=奉仕」してもらう。 穿った言い方をすれば、「やってもらって当たり前」からスタートするスポーツ。そんなスポーツが、如何に学校体育として成立するのか。
近年、テニスも御多分に洩れず、様々なスポーツにおいて、コンピューターによる審判が導入されています。 ある研究所がまとめたAI によって近々失われる仕事の1つにも、審判が挙げられています。 審判とは正しいことだけが大切なのでしょうか。バイアスを除いた精緻な試合環境が「フェア」なのでしょうか。 観客や審判など会場中全ての人を魅了し、応援される選手は誤審を招く「バグ」なのでしょうか。
誠に私見ながら、「サーブ」から始まるテニスだからこそ、「整える」ことを大切にしたいと私は考えております。予選会場から本戦会場まで、生徒も教師も共に、コートの準備や大会の運営、そして審判に一生懸命な兵庫県。その上で、初心者からインターハイや世界で活躍する子供達までが県内一つのトーナメントに集う、ロマンに溢れた兵庫県であって欲しいと心から願います。
〈 県総体団体戦・個人戦 〉
県総体団体戦、ベスト8には第1~4シードの西宮甲英・相生学院、啓明、甲南、第5~8シードの明石城西・関学・芦屋学園、そして第5シードの三田学園を破って第12シードの報徳が勝ち上がった。ベスト4には上位シードの4校が揃い踏みし、決勝は昨年と同じく、西宮甲英と相生学院の対戦となった。結果は2-1で相生学院が勝利し、昨年の雪辱を果たした。
県総体個人戦シングルスにおいて、ベスト8では相生学院の6名、太田・平川・大島・阿多・大野・菊池の中に、西宮甲英の2名、市川と白藤が食い込む戦いとなった。ベスト4には太田・白藤・阿多・大島が駒を進め、決勝戦は大島と阿多の相生学院同士の対戦となり、結果、ストレートで大島が優勝した。ダブルスにおいても相生学院の猛攻が止まらず、ベスト4では、相生学院の大島・菊池、村田・山中、金子・大野の3ペアに啓明の東川・師玉ペアが食い込む戦いとなった。決勝戦には大島・菊池ペアと金子・大野ペアが駒を進め、シングルスと同じく相生学院同士の対戦となった。 結果、大島・菊池ペアが金子・大野ペアをストレートで下し、大島が単複二冠に輝いた。
続いて行われた中国インターハイでも、相生学院の勢いは止まらず、全てストレート勝ちで見事団体優勝に輝いた。また、個人戦では、シングルスで大島がベスト8。
ダブルスでは大島・菊池ペアが優勝、金子・大野ペアがベスト4と、全国にその力を示した。
〈 県新人個人戦・団体戦 〉
県新人個人戦シングルスにおいて、ベスト8では相生学院の7名、菊池・前田・平川・山中・中園・阿多・丸山の中に、西宮甲英の市川が食い込む戦いとなった。結果、ベスト4を相生学院が堅守し、菊池・平川・阿多・丸山が駒を進めた。続く準決勝戦では、菊池・阿多が勝利し、8-5で阿多が菊池を下し、優勝を手にした。
ダブルスにおいては、ベスト4を相生学院が独占。平川・菊池ペア、阿多・丸山ペア、福井・前田ペア、山中・名越ペアが勝ち上がり、圧倒的な強さを見せた。準決勝では、平川・菊池ペアが阿多・丸山ペアを8-5で下し、菊池はシングルスでの借りを返す形となった。決勝に駒を進めた平川・菊池ペアと山中・名越ペアの試合は熾烈を極めた戦いとなり、9-7で平川・菊池が優勝した。連日に続く猛暑の中、奮闘した選手・応援の全ての生徒の健闘を讃え、悲喜交々の1分1秒全てが彼らの糧となることを願いたい。
団体戦においては、ベスト8には第1~4シードの相生学院・甲南・関学・神大中等、第5~8シードの三田・灘・雲雀丘、そして第8シードの市西宮を破って第9シードの甲陽が勝ち上がった。 ベスト4には相生学院・甲南・関学・三田が進出した。4校によるリーグ戦の結果、相生学院が全勝で優勝。甲南が2勝1敗で準優勝、関学が1勝2敗で3位、三田が0勝3敗で4位となった。相生学院は決勝リーグでも1本も落とさず全てストレート勝ちし、その実力を示した。
平成26年度男子回顧録 灘高等学校 加藤道夫[回顧録-男子]
2015年04月02日
今年度の戦績概要
<県高校総体団体戦> 県大会出場枠のベスト8を決定する予選では、第1~4シードの4校(相生学院、甲南、西宮甲英、関学)は2~4回戦をすべて3-0で制した。残る4枠をかけての4回戦はすべて2-1の接戦であったにもかかわらず、結局は第5~8シード(芦屋学園、報徳、三田、明石城西)が勝ち上がった。ちなみに9~16 シード校では、第13シードの雲雀丘が尼崎北に2-1で敗れた以外はすべてシード校が3回戦を勝利した。従って、県総体団体戦のシード基準がほぼ妥当なものであったと思われる。
県大会では、第4シード関学と第5シード芦屋学園の準々決勝が予想通りの大接戦になり(D 63、S1 67(5)、S2 64)で関学が制し、その他もシード順位がキープされた。第2シード甲南と第3シード西宮甲英の準決勝も予想通りの大接戦になり、新加入1年生を加えた戦力に優る西宮甲英が2-1で勝利した。また、第1シードの相生学院は2-0打切で関学に貫録勝ちした。決勝戦は(D 工藤・島田 61,60 白藤・市川、S1 藤井 36,16 綿貫、S2 平松 62,63 山田)の2-1でダブルスに優る相生学院が制し、104校の頂点に立った。しかし、8月の全国高校総体では、相生学院は2回戦で伏兵の札幌日大に不覚の敗戦を喫し、全国大会団体戦での兵庫県勢の活躍は3月の全国選抜大会に持ち越された。
<県高校総体個人戦> 県大会の出場枠は長い間単68、複34であったが、現在は単96、複48に変更されている。このことで、高校からテニスを始めた選手諸君が予選を突破する可能性が広がり、モチベーションが高まったはずで、全国でも有数の高いレベルにある兵庫県の県大会出場という素晴らしい目標を目指しての努力にエールを送りたい。私自身も21年間は公立高校で「初心者を県大会に送り込むこと」を最大の目標に据えていた。
シングルスは、県大会ドローを4分割すると、第4シードブロックのみで本戦シード選手4名が初戦敗退したが、他の3分割ブロックにおいてはシード選手全員が初戦を制した。さて、ベスト8は団体戦の両雄の相生学院5名と西宮甲英2名、および関学1名になった。その中から、決勝戦は第3シードの綿貫 陽介と第8シードの山田 健人の西宮甲英の同校対決となり、綿貫が 26, 76(4), 64 で大接戦を勝利した。
ダブルスの県大会ベスト8の内訳は、相生学院6組、甲南と西宮甲英が1組ずつで、ベスト4は相生学院2組、甲南と西宮甲英が1組ずつになった。その中から、決勝戦は第1シードの藤井・平川(相生学院)が第2シードの吉田・近藤(甲南)に 63,61 で勝利した。
以上の結果と順位戦の結果から、全国総体には、シングルス 藤井 遼太郎、大野 翼(相生学院)、綿貫 陽介、山田 健人(西宮甲英)、高田 直幸(関学)の5名が、ダブルス 藤井 遼太郎・平川 響己(相生学院)、吉田 有宇哉・近藤 龍之介(甲南)の2組が出場することになった。しかし、全国高校総体の結果は、単複共に2回戦を突破できなかった。来年度の高校総体では、兵庫県勢の全国上位に食い込む活躍を期待するばかりである。
<県高校新人大会個人戦> 3年生が引退し、1、2年生による新鮮な県大会が赤穂海浜公園で行われた。この大会は、近畿高等学校選手権大会の予選を兼ねており、県高校新人大会団体戦の第1資料になり、全国高校選抜大会に繋がり、阪神地区・神戸丹有地区・西地区の団体戦の資料にもなり、多くの意味合いで重要である。
シングルスでは、本戦シードの初戦(2回戦)敗退は1名、3回戦と4回戦のシード選手の敗退は3名ずつであった。ベスト8の内訳は、相生学院・西宮甲英が各2名、芦屋学園・啓明・明石城西・兵庫が各1名となり、半年後の勢力分布がどの様に変わるかが興味深い。準決勝は、田代 悠雅(相生学院)97 白藤 成(西宮甲英)、大島 立暉(相生学院)82 山田 健人(西宮甲英)、相生学院対決になった決勝戦は 田代 84 大島 であった。
ダブルスでは、本戦シードの初戦(2回戦)敗退はなく、シード破りは3回戦の2組のみで、他は順当であった。ベスト8の内訳は、相生学院が4組、西宮甲英・関学・甲南・啓明が各1名だった。準決勝は 山田・白藤(西宮甲英)84 島田・大野(相生学院)、田代・太田(相生学院)85 板倉・田村(相生学院)となり、第1、2シード対決となった決勝は大接戦の末、 山田・白藤 86 田代・太田 であった。
以上の結果と順位戦の結果から、シングルス18名とダブルス9組が近畿高等学校テニス大会に出場し、結果はシングルスのベスト8に相生学院3名が入り、決勝の第1,2シードの相生学院対決は 大島 82 田代 という大活躍であった。それに反し、ダブルスでは 島田・大野 と 田代・太田 の2組がベスト8に入るにとどまった。
しかし、毎年のように短期間で別人のようなダブルスに変身させる荒井監督に、今年も期待したい。
<県新人大会団体戦(全国選抜大会近畿予選大会への県予選)> 参加校は98校であり、県総体の104校より6校減ったが、1~2年生で5ポイントの人数を確保できない高校があり、止むを得ない。県大会出場枠のベスト8を決める予選では、第1~4シードの4校(相生学院、甲南、芦屋学園、関学)は2~4回戦を圧勝したが、第5~8シードの4校のうち第6シードの報徳だけが灘に2-3で惜敗した。県大会の準々決勝では、第4シードの関学が第5シードの明石城西に大苦戦ながら3-2で辛勝し、第1~3シード校はいずれも5-0で圧勝した。ベスト4の4校によるリーグ戦の結果は、相生学院が3試合共5-0で圧勝し、初の男女アベック優勝を達成した。以下は、甲南が2勝1敗で準優勝、関学が1勝2敗で第3位、芦屋学園が0勝3敗で第4位となった。
以上の結果、相生学院と甲南の2校が全国選抜近畿予選大会(12月26日 長浜ドーム)に出場し、相生学院が圧勝で優勝して3月末の全国選抜の出場権を獲得し、甲南も順位戦で第6位になり、出場できる可能性が高い。
全国高校総体の雪辱に燃える相生学院と、出場濃厚の甲南の両校の全国選抜大会での上位進出が期待される。
兵庫県高体連テニス部を振り返って
<はじめに> 私こと、今年の3月末に灘高等学校・中学校を定年退職し、高体連テニス部とお別れすることになりました。県立芦屋高等学校・県立西宮北高等学校・県立神戸高等学校・私立灘高等学校での41年間の教員生活の2年目から40年間に渡り高体連の役員を務めさせて頂き、至らない私をサポートして下さいました皆様に心より御礼申し上げます。単に永く務めただけですのに、40年間の回顧録も書くように委員長の門田先生に仰せつかり、固辞しましたが、許されませんでしたので、失礼ながら、少しばかり回顧させて頂きます。
<会計> 私は24年間、会計責任者を務めさせて頂きましたが、当初の年間予算合計は200万円程度でした。それが、17年前に野村先生に引き継がせて頂いたときには約1000万円になり、我ながら恐ろしさを感じたものです。折しも、各種運動競技組織の経費諸問題が全国各地で論議され始めていたので尚更でした。そして、まもなく会計役員が3名に増え、現在は6名になっています。会計となった当初は、大会終了毎に会計決算を行うため、放課後に夙川学院に赴き、矢野委員長と夜遅くまで、領収書と格闘しながら作業したことを懐かしく思い出します。ちなみに、当初の県大会は男女共に 神戸ローンテニス倶楽部(現在の阪急王子公園駅 西へ徒歩5分)で行われ、私が神戸高校選手の頃から、神戸LTCの赤土コートは「県高校テニス選手達の聖地」でした。
<二度の全国総体> その間に、昭和63年の全国高校総体テニス競技大会を矢野委員長の下で開催しました。試合会場の神戸総合運動公園近くに、当時独身で結婚間近だった私のマンションの一室があり、役員達に「そこを大会本部にしよう」などと冷やかされたものです。その大会運営で、私は会計と共に審判委員長に命じられ、2年前から、当時活躍していた高校の先生方に御推薦頂いた1年生の男女審判員を集めて養成し、県大会や近畿大会を審判リハーサル大会として実施し、本番では、個人・団体の1回戦から決勝までの全試合を生徒審判のみで行いました。これは全国総体の歴史上で初めてのことだと聞かされ、他府県の役員の皆様に感心され、お褒め頂きました。そのときの審判副委員長は前高体連委員長の石森先生、その下で走り回って下さったのが新進気鋭の寺谷先生でした。それらの審判員には試合の合間のコート整備班も編成して活躍して貰いました。二度とそのような経験は無いものと思っておりましたが、なんと、平成18年に大阪府が財政難を理由に、予定されていた全国総体テニス大会の運営を不可能として放棄し、兵庫県に回ってきたのです。「冗談やろ! 放棄なんてできるん!」と叫びあったことを覚えています。かくして、全国高校総体テニス競技大会を再び、今度は宮内委員長の下で開催することになってしまいました。そのときの審判委員長はもちろん寺谷先生で、見事なお仕事に感服致しました。これら2回の全国大会の前後は、兵庫県の敗者審判のレベルは全国の見本だと言われたものですが、最近の大会の予選や県大会における敗者審判のレベルは著しくダウンし、見るに堪えません。見かねて、審判に「声を出してポイントコールをしなさい!」と注意すると、観戦している保護者に「邪魔するな!」と怒鳴られる始末です。審判を公正に行うことは重要な教育だと思いますので、是非とも皆様と共にしっかり指導しましょう! 余談ですが、私は県中体連役員も21年間務めさせて頂き、高体連と掛け持ちですので、どちらの役員業務にも徹底できず、不義理になってしまったことを深くお詫び申し上げます。さらに、3年前には全国中学校テニス選手権大会が神戸市で開催され、3度の全国大会の運営に携わったという数少ない者になってしまいました。
<ジュニア委員会> 私は兵庫県テニス協会のジュニア委員も25年間務めさせて頂きました。幸い、当初から兵庫県では、高体連・中体連とテニス協会の仲が良く、運営委員の先生も重複している方々が多く、他府県から羨ましがられるほど協力し合って運営されています。私は3足の草鞋を履き続けたので、大したことはできませんでしたが、ジュニア委員会への出席率が常に委員長(議長)の次だったことだけが小さな誇りです。そういうわけで、当初は酷使され、県ジュニアテニス選手権の県大会で、開会式・表彰式の司会・ルール説明・12U~18U 男女・単複のすべてのオーダーオブプレーをたった一人で4日間やり通したこともありましたが、やがて、若き安田先生が来られましたので、すべてお任せ致しました。また、サマーサーキット大会(男女16U・18U)においては、宮内先生・竹浪先生と共に、合計400名以上の男女を当日抽選し、午前の試合中にドローを作成・印刷して配布し、2日間で第1戦を終わらせ、その上位者をシードとし、引き続く2日間で同様に当日抽選による第2戦を行い、第1・2戦のポイント合計上位の16名によるマスターズ大会(無料)も行うという世界で最も過酷な運営? も行いました。その結果、関西ジュニア出場者を除く選手レベルを強化し、それらの決勝進出者が翌年の県ジュニア選手権や県高校総体でベスト8になることも多く、やりがいも大きな大会でした。しかし、私がジュニア委員を辞任したとき、選手に喜ばれたこの大会は無くなってしまい、寂しく感じました。
<ジュニアポイント> ジュニア委員期間中、我々ジュニア委員にとって最も重要であった仕事は何といっても、ジュニア大会・高体連大会の戦績をポイント化するという難題を解決することでした。これは10年間近く論議を重ねて遂に成し得たものです。難航した最大の理由は、テニス王国兵庫ならではの理由なのですが、当時の園田・夙川が全国団体制覇を続け、兵庫県の決勝は全国の決勝であり、両校の選手数十名が県大会に出場し、その選手たちのシードは両校の監督が決めざるを得ないことでした。ポイント化を巡り、真剣な大喧嘩並みの激論で会議が中止されたことも数回ありました。そのようないきさつで、10年近く前まで、女子の県大会団体戦のドローでは、園田と夙川がスーパーシード(準決勝から試合する)になっていたのをご存知の方も多いと思います。宮内先生を中心とする当時のジュニア委員が主たる大会のグレード別ポイント表を作成し、数年間に渡り、毎年の仮想年間ポイントランキング表を作成し続け、その表を、ポイントなしにドロー会議で作成されたドローと比較し、双方のドローがほぼ一致することを示すことで、ようやく成し遂げられたもので、それらの作業における宮内先生の超人的なお仕事には頭が下がります。それが基になり、西地区の先生方のノウハウも取り入れることによって、今日のジュニアポイントによるシード作成(高体連の大会・テニス協会の大会に共通)に至ったという事柄を思い返すと涙が出てきます。そして、今後も高体連と協会のよい協力関係が維持されることを祈ります。
<大震災> 大きな出来事の筆頭は何といっても阪神淡路大震災でしょう。本年はちょうど震災後20年の区切りの年ですが、高体連テニス部役員の皆様の若返りによって、震災直後の大会運営をどのように行ったかも忘れられかけていますので、迫り来る東海・東南海・南海大地震に向けて、私の記憶を少しばかり書かせて頂きます。震災直後の阪神・淡路は、あたかも大空襲を受けたかのように鉄筋ビルも含めてほとんどあらゆる建物が崩壊し、その上大火災で一面焼け果てた地域も多く、現在の建築物の復興は本当に信じがたいものがあります。
1月17日の震災後、多くの学校の授業も行われない中、3月の県ジュニア選手権は、予選は行わず、過去1年間のポイント上位者による選抜大会とし、丹波総合運動公園で実施しました。また約4ヶ月後の県高校総体は神戸総合運動公園・しあわせの村において予選を含めて実施しました。
<おわりに> 40年間を長々と振り返ってしまい、お読み頂いた方々が貴重な時間を浪費されたかも知れず、誠に恐縮でございます。それでは、兵庫県高体連テニス部の益々のご発展を祈念し、ご挨拶とさせて頂きます。
平成26年度女子回顧録 夙川学院高等校 藪中伸也[回顧録-女子]
2015年04月02日
物事に対して一心不乱に打ち込めばそこから感動や物語が生まれることがある。高校生の大会も同様である。大会全体を見ていれば感動や物語、雰囲気などを伝えることができたがいつも試合会場ではほとんど部員の試合しか見ないため、上手く伝えられないことをご了承いただきたい。
「兵庫県高等学校総合体育大会」
(団体)
園田、啓明、芦屋学園、加古川北、夙川、雲雀丘、加古川南、相生学院がベスト8に入った。準々決勝は園田3-0啓明、芦屋学園3-0加古川北、夙川3-0雲雀丘、相生学院3-0加古川南となった。準決勝は園田が芦屋学園に2-0、相生学院が夙川に2-0で勝ち、決勝に進んだ。決勝は園田対相生学院となった。ダブルスは園田の釜江・伊藤が2-6、7-5、6-3で相生学院の藤原・池内に勝ち、シングルス1は園田の上が6-4、6-3で相生学院の橘に勝ち、シングルス2は相生学院の栗本が6-3、4-6、6-4で園田の中谷に勝った。結果、園田2-1相生学院となり、団体戦の戦い方を知り尽くしている園田が接戦をものにして優勝を果たした。園田はインターハイでも力を存分に発揮してベスト4に入り、兵庫県代表として強さを全国に示してくれた。
(個人)
シングルスはベスト8に相生学院4人、園田2人、西宮甲英1人、芦屋学園1人が勝ちあがり、上(園田)、浦上(芦屋学園)、橘(相生学院)、東(西宮甲英)がベスト4に駒を進めた。準決勝は上(園田)6-4、6-2浦上(芦屋学園)、橘(相生学院)6-4、6-1東(西宮甲英)となった。決勝は団体決勝と同じ対戦になり、橘(相生学院)が上(園田)を6-3、6-4で破り、団体の雪辱を果たした。
ダブルスではベスト4に中谷・上(園田)、浦上・辻川(芦屋学園)、上田・堺(相生学院)、橘・栗本(相生学院)が勝ちあがった。準決勝は中谷・上(園田)6-2、6-1浦上・辻川(芦屋学園)、橘・栗本(相生学院)6-2、6-0上田・堺(相生学院)となった。決勝は橘・栗本(相生学院)が中谷・上(園田)を6-4、7-6(1)で破り、優勝した。3位戦決定では上田・堺(相生学院)が浦上・辻川(芦屋学園)を破り、3位となりインターハイの切符を手に入れた。
インターハイでは上・中谷(園田学園)、橘・栗本(相生学院)の2組がベスト4、上田・堺(相生学院)がベスト8という好結果を残し、兵庫県の層の厚さを全国に見せつけた。
「兵庫県高等学校テニス新人大会」
(個人)
シングルスはベスト8に相生学院6人、夙川1人、芦屋学園1人が勝ちあがり、藤原(相生学院)、浦上(芦屋学園)、池内(相生学院)、堺(相生学院)がベスト4に駒を進めた。
準決勝は浦上(芦屋学園)8-4藤原(相生学院)、池内(相生学院)8-4堺(相生学院)となった。決勝は接戦となったが池内(相生学院)が浦上(芦屋学園)を9-8(4)で破り、優勝した。
ダブルスではベスト4に相生学院2組、夙川1組、園田1組が勝ちあがった。準決勝は上田・堺(相生学院)8-6山中・田中(夙川)、池内・藤原(相生学院)8-4伊藤・中谷(園田)となった。決勝は相生学院対決となり、上田・堺が池内・藤原を8-3で破り、優勝した。
(団体)
昨年、園田が全国選抜大会で優勝を果たした。ノーシードから勝ちあがっての優勝は園田の強さを改めて感じさせられた。今年の団体戦では相生学院、三田、夙川、加古川南、園田、加古川北、啓明、雲雀丘がベスト8に入った。準々決勝では相生学院5-0三田、夙川5-0加古川南、園田4-1加古川北、雲雀丘3-2啓明となった。準決勝に進んだ学校による決勝リーグ戦は相生学院が実力を発揮して優勝を飾った。2位以下が近年稀に見る混戦となり、夙川が2位に入った。夙川、園田、雲雀丘の3校での対戦はいずれも3-2の結果であった。3校ともが2位に入れるチャンスがあり、どの試合も見応えのある試合であった。
個人的な感想になって申し訳ないが、私が監督になって初めて園田に勝つことができた大会となった。日頃から常に園田を意識していたのでやっと勝つことができたというほっとした気持ちが一番にあった。
過去を振り返ってみれば全国大会の決勝の舞台で兵庫県同士の対決があるほどレベルが高く、層が厚かったため全国から一目を置かれる存在であった。再び全国大会の決勝の舞台で兵庫県同士の対決を実現できるように出場校は兵庫県を背負って全国大会で活躍することを期待したい。
昨年、最もテニス界を盛り上げた一人といっても過言ではない錦織圭選手の話を紹介します。錦織選手は普段でも決して驕る態度を取らず、とても紳士的であるそうです。初めて会った人や関わっている人は錦織選手を純粋に応援したくなる人だと言っていました。どの世界でも一流といわれる人達は技術で一流だけでなく、人間性も一流であることは共通するものです。ひたむきにテニスに打ち込んでいる高校生たちも技術だけを追い求めるのでなく、人間性でも一流になってもらいたいと願って平成26年度の回顧録とします。